【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q10 希望していない個室(病室)利用料の支払義務

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【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q10 希望押していない個室(病室)利用料の支払義務についての記事です。

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【Q10】退院時に窓口で入院費を精算しようとしたら、個室使用料が入っていました。個室は利用しましたが、他の部屋が満室だから個室に入院になりますという説明を受けただけで、自分の希望で個室にしたわけではありません。このような場合でも、個室使用料を支払わなければならないのでしょうか。

【POINT】
① 個室使用料とはどういうものか
② 個室使用料は支払わなければならないのか

1⃣ 個室使用料とは
① 個室使用料とは、健康保険の適用外で患者に請求される病室の使用料のことを指しています。差額室料、差額ベッド代とも呼ばれているものです。
② 厚生労働省の通知では、このような差額室料を要する病室のことを「特別療養環境室」と呼び、その運用について注意がなされています。
③ 保険診療報酬が診療行為ごとに一律に設定されているため、一方では、より高度なサービスを求める患者のニーズに応えるために、個室使用料のような特別サービスが存在することは、不合理ではない価格設定である限り、否定する必要はないでしょう。
④ しかし、他方では、病院経営の増収手段として安易に特別サービスが過大に設定されてしまうと、特別サービスを求めていない患者が当該サービスを利用せざるを得ない状況も発生し、不合理な費用請求を受けてしまう結果になってしまいます。

2⃣ 個室使用料の注意点
① 厚生労働省は、課長通知において、特別療養環境室を設けるにあたっては、次の⑴から⑷までの要件を充足するものでなければならないとしています。
⑴ 特別の療養環境に係る一の病室の病床数は4床以下であること
⑵ 病室の面積は一人当たり6.4㎡以上であること
⑶ 病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備を備えていること
⑷ 少なくとも下記の設備を有すること
・個人用の私物の収納設備
・個人用の照明
・小机等及び椅子
② そして、特別の療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならない。
③ 特別療養環境室へ入院させた場合においては、次の事項を履行しなければならないものとしています。
⑴ 保険医療機関内の見やすい場所、例えば、受付窓口、待合室等に特別療養環境室の各々についてそのベッド数、特別療養環境室の場所及び料金を患者にとってわかりやすく掲示しておくこと
⑵ 特別療養環境室への入院を希望する患者に対しては、特別療養環境室の設備構造、料金等について明確かつ懇切丁寧に説明し、患者側の同意を確認のうえ入院させること
⑶ この同意の確認は、料金等を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うものであること。なお、この文書は、当該保険医療機関が保存し、必要に応じて提示できるようにしておくこと

3⃣ 個室使用料を徴収できない場合
① 前項に掲げた厚生労働省の課長通知によれば、患者に特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合としては、具体的には以下の例が挙げられるとしています。
⑴ 同意書に同意の確認を行っていない場合(当該同意書が、室料の記載がない、患者側の署名がない等内容が不十分である場合を含む。)
⑵ 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
例:
・救急患者、術後患者等であって、病状が重篤なため安静を必要とする者、又は常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者
・免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある患者
・集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある終末期の患者
・後天性免疫不全症候群の病原体に感染している患者
・クロイツフェルト・ヤコブ病の患者
⑶ 病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であっても、主治医等が他の入院患者の院内感染を防止するため、実質的に患者の選択によらず入院させたと認められる者

4⃣ 個室使用料の請求
① 前記厚生労働省課長通知が、ただちに法的拘束力を有しているわけではありませんから、たとえば、同意書による確認を行っていないという理由だけで、個室使用料を支払うことを裁判上拒絶できるわけではありません。
② もっとも、診療契約に基づく説明義務を尽くしていないことは明らかですので、説明義務違反に基づく損害賠償請求と個室使用料を相殺することは可能だろうと考えます。
③ さらに、病院側が、空き室があるにもかかわらず虚偽の説明をして個室に入院させられたようなときには、たとえ同意書を提出していても、当該同意を詐欺を理由として取り消すなどの法的手段が可能な場合もあるかもしれません。
④ もっとも、その場合であっても、患者側は不当利得として一定の金額については返還請求を受けないとも限りません。
⑤ このような特別サービスに基づく費用に関しては、事後的な解決策では双方に不満が残ることになりかねませんから、やはり事前に十分な説明・告知を行い、本人の同意をえたうえでサービスを提供するというプロセスを実践しておくことが大事だろうと思います。