【孤独死をめぐるQ&A】Q18 相続人が不存在の場合(相続財産清算人)

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【孤独死をめぐるQ&A】Q18 相続人が不存在の場合(相続財産清算人)についての記事です。

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【Q18】遠縁の親族が自宅で孤独死をしたらしく、警察から私に連絡がありました。
相続人が誰もいないのですが、故人は賃貸アパートを所有しており、そのままにするわけにもいかずに困っています。相続人が誰もいない場合、相続財産はどうなってしまうのでしょうか。

【A】相続人が誰もいない場合、原則として遺産は国庫に帰属します。
ただ、自動的に国庫に帰属するわけではないので、裁判所に相続財産清算人を選任してもらい、相続財産清算人が国庫に帰属させるための手続きを行うことになります。
相続財産清算人が選任されず、事実上遺産が放置されているというケースもあります。

【解説】

1 相続人がいない場合

① 法定相続人には、被相続人の配偶者、直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹等が該当します。
② 被相続人が独身または配偶者に先立たれ、両親は既に亡くなっており、兄弟姉妹も甥も姪もいないという場合には、相続人不存在となります。
③ 相続放棄をすると初めから相続人とならなかったとみなされますので、相続債務が明らかに多いなどの理由で相続人全員が相続放棄をしてしまった場合、相続人がいないということになります。
④ 孤独死の遺族の相談を受けていますと、どちらかというと後者、すなわち相続人はいたのですが、資産が乏しかったり負債があったりと相続するメリットがないので全員が相続放棄をし、その結果相続人が誰もいなくなったというケースの方が多いと感じています。

2 相続財産の国庫帰属財産額

① 被相続人の財産は、最終的には国庫に帰属されることになります。国庫に帰属した遺産は裁判所の歳入として計上されるので、裁判所の決算から確認することが可能です。
② 婚姻件数の低下や出生率の低下により相続人がいないというケースは増えており、国庫帰属する遺産額は増加傾向にあります。
③ 最高裁判所「一般会計歳入予算概算見積書(現金収入)」によりますと、平成21年度は180億9670万円でしたが、令和3年度は647億7298万円となっており、急増しております。

3 相続財産清算人選任

1)選任申立
① 相続人の存在、不存在が明らかでないとき、相続人全員が相続放棄をして、結果として相続する者がいなくなったとき、家庭裁判所は、申立てにより、相続財産の清算人を選任します。
② 相続財産清算人は申立てがあって初めて選任されるため、誰も申立てをしなければ相続財産清算人は選任されません。
③ 相続財産清算人の選任申立てをすることができるのは、利害関係人(被相続人の債権者、特定遺贈を受けた者、特別縁故者など)又は検察官です。
④ 相続人がいない放置された不動産がある場合、市町村は固定資産税の債権者になるので、市町村も相続財産清算人の選任申立てができます。
⑤ 申立ては、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に対して行います。

2)予納金
① 相続財産清算人が選任されるとき、遺産の額が少なく相続財産清算人の作業経費や報酬が出ない場合に備えて、一定額をあらかじめ納めるように要求されることが通常です。予納金の額は、事案の内容に応じて家庭裁判所が決定するとされています。
② ただ、十分な現預金があるケースでも一律100万円の予納金を求められることもあるようです。遺産から相続財産清算人の報酬や経費の支払いができる場合には予納金は戻ってきますが、あらかじめ100万円納めなければならないという手続きは、申立人にとって負担となります。

3)選任公告
① 相続財産清算人が選任されると、家庭裁判所は相続財産清算人が選任されたことを知らせるための公告をします。
② 同時に家庭裁判所は相続人を探す公告をします。この期間は6箇月を下ることはできないとされています。
③ 相続財産清算人は、相続債権者、受遺者に対し、2箇月以上の期間を定めて、その期間内にその請求の申出をすべき旨公告しなければなりません。この期間は家庭裁判所の公告期間内に終了しなければなりません。
④ この公告期間満了後3ヵ月以内に特別縁故者に対する相続財産分与の申立てがされることがあります。
⑤ 相続財産清算人が被相続人の不動産や株式を売却し、金銭に換え、債権者や受遺者への支払、特別縁故者に対する相続財産分与の審判に従った分与をし、相続財産が残った場合は、相続財産を国庫に引き継いで手続きが終了します。

4)遺産の買取や形見分け
① 相続財産清算人が選任された場合、親族が故人の遺産を承継する機会が一切ないわけではありません。
② まず、有償物については、相続財産清算人は公正な時価で売却する必要があります。不動産などは不動産鑑定をした上で、公正な時価での売却を試みます。公正な時価であれば、遺族や近親者に売却しても支障はないので、取得を希望する場合、相続財産清算人にその旨申し出ておくとよいでしょう。
③ 次に価値のないものの形見分けですが、相続財産清算人として全ての動産を処分するのであれば、処分価値がない動産については親族や近親者に形見分けをした方が処分の手間が省けます。相続財産清算人は、形見分けの希望をすれば、物によっては家庭裁判所から無償譲渡の許可を得た上で、形見分けをしてくれることがあるでしょう。

4 事実上の放置

① 上述のとおり、相続財産清算人選任申立てには高額な予納金が必要になるケースが多いという弊害があります。全員が相続放棄をするような案件では、資産に乏しく相続財産清算人の選任申立てをするメリットがある人がいないということもままあります。
② また、被相続人の債権者側からしてみても、回収可能な財産が分かっている場合、相続財産清算人選任申立てをするよりも、特別代理人選任申立てをし訴訟や強制執行をした方が費用が抑えられ、また優先的に回収できるので、わざわざ相続財産清算人の選任申立てをしないということもあります。
③ このように相続人がいないが、誰も相続財産清算人選任申立てをせずに、事実上遺産が放置されているケースも、相当数あるのではないかと思われます。
④ なお、相続放棄をしたからと言って全ての責任を免れるわけではなく、相続放棄時に占有していた場合、自己の財産におけるのと同一の注意義務が課せられ、その財産を相続人又は相続財産清算人に引き渡すまでは保存しておく義務を負います。

【孤独死をめぐるQ&A】Q17 限定承認

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【孤独死をめぐるQ&A】Q17 限定承認についての記事です。

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【Q17】おじが亡くなり、私が相続人になります。
おじには相続財産があることは分かっているのですが、生前にあまり交流をしていなかったので、もしかしたら負債があるのではないかと思い、相続をしてしまってよいものか悩んでいます。
相続財産の限度で債務を相続する限定承認という制度があるのをインターネットで知ったのですが、限定承認をしてよいものか注意点を教えてください。

【A】限定承認は、相続放棄と同様、相続の開始を知った日から3か月以内に行う必要があります。単純承認事由がある場合には限定承認は出来なくなります。
また、限定承認は、相続放棄とは異なり相続人全員で行う必要があるほか、手続きや税務面でも複雑であり、限定承認という方法を選択するかについては慎重な検討が必要です。

【解説】

1 限定承認とは

① 限定承認とは、相続人が遺産を相続するときに債務は相続財産を責任の限度として留保して相続をすることをいいます。
② 相続によって得たプラス財産の限度において、被相続人の債務などのマイナス財産を相続するので、もしマイナス財産が多くても、相続人がもともと持っていた財産で債務を弁済する必要はありません。もし、プラスの財産の方が多ければ、相続財産をもって負債を弁済した後、余りが出ればそれを相続できます。
③ このように、限定承認をすれば、負債の有無や額が分からない相続の場合、負債があっても相続財産の範囲内で弁済すればよくなります。
④ もし財産の方が多ければ財産を相続でき、一見して損がない制度なので、それであればみんな限定承認を選択するはずです。
⑤ しかしながら、令和元年度の司法統計によると、相続放棄申述受理の申立てが22万件超であったのに対し、限定承認申述受理の申立ては657件と極めて少ないというのが実情なのです。
⑥ これは、以下に述べるように、限定承認は手続きや税務処理が複雑であり、利用が敬遠されているという理由です。

2 熟慮期間、単純承認事由

① 限定承認も、相続放棄と同様、限定承認の期限は相続の開始をした日から3か月以内に被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に対して限定承認の申述をする必要があります。
② また、相続放棄と同様、限定承認の申述をする前に、相続人が相続財産の全部又は一部を処分してしまうと、単純承認したとみなされ、限定承認はできなくなります。
③ なお、3か月以内にどの相続方法を選べばよいか決められない場合は、熟慮期間の伸長を申立てることもできます。

3 相続人全員で行う必要がある

① 相続放棄は一人でも行えますが、限定承認は相続人全員が共同で行う必要があります。
② 相続人のうち一人でも協力してくれない人がいる場合には、限定承認を行うことができません。ただ、相続放棄をした場合には、相続放棄をした者は最初から相続人とはならなかったものとみなされるので、相続放棄をした人を除いたすべての相続人が限定承認を希望しているのであれば、限定承認の申述は可能です。
③ なお、共同相続人が生死不明で一緒に申述ができないという場合、生死不明者について不在者財産管理人を選任し、不在者財産管理人と他の相続人で限定承認の申述をすることができます。

4 限定承認の清算手続き

① 限定承認をした場合、勝手に遺産の中から債権者に弁済をしていくというわけにはいきません。法で定められた手続きに従って清算手続をしていく必要があります。

1)相続財産管理人の選任
① 複数の相続人で限定承認をする場合は、申述の受理と同時に相続財産管理人が選任され、相続財産管理人が清算手続を行うことになります。
② 限定承認をした相続人が一人の場合、その人が清算手続を行うことになります。

2)公告、催告
① 相続人が家庭裁判所に限定承認の申述を行った後は、5日以内に全ての相続債権者及び受遺者に対し、2か月以上の期間を定めて限定承認をしたこと及び債権の請求をすべき旨の公告(官報掲載)を行い、知れている債権者には個別に催告を行う必要があります。
② 官報公告は、法定の期間内(限定承認者の場合は5日以内、相続財産管理人の場合は選任後10日以内)に行う必要があります。
③ 受理の審判後すぐに官報に掲載する必要があるので、官報公告の文案や官報公告の手順については、事前に準備しておく必要があるでしょう。

3)換価
① 限定承認をした場合、換価についてもルールが決められており、限定承認者や相続財産管理人が好きに不動産を売って換価したり、不動産は居住し続けたいから売却せずに持ち続け預貯金から弁済をしたりするという自由な処分はできません。
② 債権者からすれば引当てとなるのは相続財産だけですから、自由に相続財産を処分してよいとすると適正な価格で財産が処分されずに満足な債権回収ができなくなるおそれがあります。
③ そのため、限定承認手続においては、財産の換価手続は「競売に付さなければならない」と定められております。
④ ただし、先買権といって、相続財産の全部又は一部について、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い価額を弁済することにより、競売を止めることは認められます。
⑤ 先買権を利用すれば、不動産は第三者に売却せず相続したいという要望をかなえることが可能です。
⑥ 換価の際には、限定承認手続き専用の銀行口座を作成するなど、自身の財産と相続財産とが混ざってしまわないような配慮をした方がよいでしょう。

4)弁済
① 官報公告の申出期間が過ぎたら、先取特権や抵当権などの優先権がある債権者、一般の債権者、受遺者の順番に弁済をしていきます。
② 相続財産で全債務を完済できない場合は、同一の優先順位の範囲内の債権者に対し、債権額の割合に応じて弁済することになります。

5)残余財産を相続人が受け取る
① 債権者や受遺者に弁済をしても財産が余った場合、ようやく相続人がその財産を受け取ることができます。

5 みなし譲渡課税

① 限定承認の手続きを行った場合、税法上では、被相続人が相続人に対して、財産を時価で譲渡したとみなされてしまいます。
② そのため、購入時よりも値上がりしている土地や株式、そもそも取得価格も分からないような先祖代々の土地などは、時価と取得価格の差額がみなし譲渡所得となり、所得税が課せられてしまいます。相続人は被相続人の所得税について、相続開始を知った日の翌日から4か月以内に準確定申告をする必要があります。
③ 限定承認の場合、不動産を第三者に売却して実際に現金を得ているわけではないので、限定承認をしただけでみなし譲渡所得税が課せられてしまう点で、単純承認に比べて不利益があります。
④ 明らかに資産の方が多く、また不動産は売却せずに所有し続けるという場合には、所得税の分だけ被相続人が損をしたことになってしまいます。

6 限定承認の実例

① このように限定承認は、手続きが煩雑である、税務面でデメリットがあるという理由もあってほとんど利用されていません。
② しかし、相続債務があるかどうかわからないという場合には、有力な手段の一つであることは言うまでもありません。
③ 孤独死した方の相続の場合、縁が遠く、どのような負債があるかも全く見当もつかず、資産があるのは分かっているので相続はしたいが、後で負債が出てきたら困ると考える方はいます。
④ 遺産が現金・預貯金のみで、今のところ相続債務は見つかっていないような場合には、そこまで手続きが複雑にはなりませんので、全ての相続人で意思統一ができるのであれば、限定承認をしてみるということも検討してよいかと思います。

【法改正情報】

所有者不明土地問題解決を図る民法・不動産登記法等の改正に伴い、相続財産管理人は、相続財産清算人となります。
改正は令和5年4月1日から施行されます。

【孤独死をめぐるQ&A】Q16 相続放棄③ 3か月経過後の相続放棄

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【孤独死をめぐるQ&A】Q16 相続放棄③ 3か月経過後の相続放棄についての記事です。

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【Q16】おじが亡くなった後3ヶ月経過してから、おじに多額の借金があったことが分かりました。借金を相続したくないのですがどうしたらよいですか。

【A】借金を相続しないためには相続放棄という方法があります。相続放棄は原則として相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。
亡くなった日から3か月経過しても受理してもらえることも多いので、弁護士や司法書士等の専門家に相談した上で、相続放棄の申述をしてみてください。

【解説】

1 熟慮期間の起算点

① 相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月(熟慮期間)以内に手続きをする必要があります。
② 熟慮期間を超えると相続放棄は出来なくなるので、いつから熟慮期間が進行するか、熟慮期間の起算点が極めて重要になります。

1)相続人であることを知った時
① 相続放棄をするかしないか考えるには、まず、自身が相続人であることを覚知していることが前提となります。そして、相続人であることを覚知していたといえるためには、具体的に相続人であることを覚知していることが必要とされています。
② 被相続人が亡くなったことを知っていながら、法律の不知や事実誤認により自身が相続人であることを具体的に覚知していなかったようなケースでは、具体的に覚知するまでは熟慮期間が進行しないと判断されることもあります。(大決)
③ 相続放棄をするに家庭裁判所への申述をする必要があることを知らず、自身は相続放棄により相続人でないと思い込んでいたと誤信していたというケースで、法の不知により相続人であることを知らなかった可能性があるとして相続放棄の申述が受理されたこともあります。法の不知について比較的緩やかに解釈されているようです。

2)相続財産がないと考えた場合
① 自身が相続人であることを知りながら、相続財産がないと信じており相続放棄は不要と考えていたケースもあり得ます。
② このような場合、相続人が3か月以内に限定承認、相続放棄をしなかったのが、相続財産が全くないと信じたためであり、かつこのように信じるについて相当な理由があると認められる場合には、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算するのが相当と判断されています。(最二小判)

2 死亡から3か月経過後の相続放棄の申述

1)却下すべきことが明らかな場合以外は受理するとの運用
① 相続放棄の申述の受理は、実質的には適式な申述がなされたことを公証する手続きとされています。(最二小判)
② 家庭裁判所が相続放棄の申述を受理したとしても、相続放棄の実体要件を備えていたことにはならず、債権者は相続放棄の実体要件を欠くことについて、訴訟で争うことは可能です。
③ これに対して、相続放棄の申述受理の申立てが却下された場合、相続放棄が民法938条の要件を欠き、相続放棄をしたことを主張できなくなり、相続人は回復し難い損害を被ることになります。
④ このことから、家庭裁判所は却下すべきことが明らかな場合以外は相続放棄の申述を受理すべきとの考え方が主流になっています。

2)受理された例
① 下記の通り、3か月経過後であり、被相続人に財産があるということを知っていたような事例であっても、相続放棄の申述が受理されたという例は多数あります。
② 相続人が、被相続人所有の不動産があることを知っていたが、その土地に財産的価値がほとんどなかったという事例。
③ 次女が、被相続人である母所有の不動産があることを知っていたが、不動産は全て姉が相続し自らには相続する財産はないと信じていた事例。
④ 被相続人の死亡当時被相続人名義の不動産の一切を長男が取得することで合意したものの、生前から被相続人名義の不動産が相続の対象となる遺産であるとの認識はなかったとされた事例。

3)諦めずに申し立てることが重要
① 上述のとおり、3か月経過後であり、被相続人に財産があることを知っていたような事例であっても、相続放棄の申述が受理されたという例は多数あるため、もし3か月経過後に債務の存在を知り相続放棄を考えたという場合、諦めて単純承認をしてしまうのではなく、相続放棄の申述を受理してもらえる可能性があるのであれば、申立てをしてみた方がよいと考えられます。
② 相続放棄の申述が却下され、それに不服がある場合には、却下の通知が届いてから2週間以内に高等裁判所に即時抗告することで、改めて判断を求めることが可能です。

【孤独死をめぐるQ&A】Q15 相続放棄② 熟慮期間の延長と単純承認

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【Q15】相続放棄② 熟慮期間の延長と単純承認

おじが亡くなり、私が相続人になるようです。遺産や債務の有無を調査していますが、生前、ほとんど交流をしていなかったので、財産の目星がつけづらく、相続財産の調査に3か月以上かかってしまいそうです。
相続放棄の期間を延長できるようなのですが、どのようにすればよいのでしょうか。

【A】3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の熟慮期間伸長の申立てをすると熟慮期間を延長してもらえます。期間が延びますが、その間に単純承認になるようなことをしてしまうと、相続放棄が認められない可能性がありますので注意をして下さい。

【解説】

1 熟慮期間延長

① 孤独死した被相続人の場合、財産や負債がどのくらいあるか全くわからないこともあります。
② 財産や負債の調査には相当の時間を要しますので、3か月では単純承認するか相続放棄や限定承認とするかの判断がつかないということもあり得ます。
③ そのような場合、家庭裁判所に相続放棄の熟慮期間伸長の申立てをすることもできます。この相続放棄の熟慮期間伸長の申立ても、当初の熟慮期間内に申立てをする必要があります。
④ 伸長の期間については、3か月程度しか認められないことが多くなっております。伸長した熟慮期間内であれば、再度、熟慮期間伸長の申立てをすることも可能です。この場合、伸長した熟慮期間内に判断ができなかった理由の説明を求められることが多くあります。

2 単純承認事由

① 相続放棄の申述をする前に、相続人が相続財産の全部又は一部を処分してしまうと、単純承認したとみなされ、相続放棄は出来なくなります。
② 相続するかどうか考えている間は、相続財産の処分をしないように気を付ける必要があります。

1)相続人が被相続人の債務を支払った場合
① 相続人が、自分の保険解約返戻金を原資として相続債務を支払った事例では、単純承認事由には当たらないと判断されています。(福岡高決宮﨑支部)

2)葬儀費用の支払
① 相続人が、被相続人の火葬費用や治療費残額を相続財産から支払った事例では、「遺族として当然なすべき被相続人の火葬費用ならびに治療費残額の支払に充てたのは、人倫と道義上必然の行為であり、公平ないし信義則上やむを得ない事情に由来するものであって、これをもつて、相続人が相続財産の存在を知つたとか、債務承継の意思を明確に表明したものとはいえない」として、単純承認事由に当たらないとはんだんされています。(大阪高決)
② 葬儀の規模にもよりますが、家族葬などの小規模の葬儀費用であれば、遺産から葬儀費用を出しても単純承認事由とされる可能性は低いと考えられます。
③ 他方で、大規模な葬儀を行い相当多額の出費をした場合には、単純承認になる可能性もありますので、葬儀費用は単純承認にならないなどと思い込み大規模な葬儀を執り行い、相続財産から出費するということは避けた方が無難です。

3)形見分け
① 形見として背広上下、冬オーバー、スプリングコートと位牌を持ち帰り、時計・椅子2脚の送付を受けたという事例では、単純承認事由に当たらないと判断されています。(山口地判徳山支部)
② 他方で、被相続人の遺品を形見分けしただけでは民法921条3号の「隠匿」には当たりませんが、被相続人のスーツ、毛皮、コート、靴、絨毯など一定の財産的価値を有する遺品のほとんどすべてを自宅に持ち帰る行為については、法定単純承認となるという裁判例もあります。(東京地判)
③ 財産的価値が乏しい形見分けであれば単純承認事由にならないという解釈が一般的ですが、形見分けした財産の価値が高い場合には単純承認事由に当たると判断される可能性が高くなります。
④ どこまでが財産的価値に乏しい形見分けか、どこからが形見分けを超えて単純承認になるのかの基準は明確ではないので、形見分けをする際には注意が必要です。

4)被相続人の有していた債権の取り立て
① 相続人が、被相続人の有していた債権を取り立てて弁済を受領した事例では、単純承認事由に当たると判断されています。(最一小)

5)株主としての議決権の行使
① 株主として株主総会で議決権を行使した事例では、単純承認事由に当たると判断されています。(東京地判)
② 被相続人が100%株式を保有して会社を経営していた場合、後継者から遺族に対して、後任の取締役を選任する必要があるとして、株主総会議事録への署名をお願いされることがります。しかしながら、株主総会議事録への署名は、議決権行使として単純承認事由とされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。
③ 被相続人が会社の経営者の場合、会社の金融機関からの借入れについて連帯保証債務を負っていることも多いのですが、単純承認となると連帯保証債務も承継してしまいます。
④ 万が一、後継者が引き継いだ会社が破綻した場合、相続人が多額の債務を負ってしまう可能性があるので、特に注意が必要です。
⑤ 会社の従業員から、株主総会議事録に署名をしてもらえないと会社の経営が続けられないと懇願されて断るのは心苦しいのですが、相続放棄をするのであれば断るほかありません。

6)保険金の受取
① 生命保険など保険金の受取人が相続人の場合、保険金請求権は相続財産ではないので、保険金を受け取っても単純承認事由には当たりません。(山口地判徳山支部)
② 他方、医療保険や入院保険など保険金の受取人が被相続人であった場合には、保険金請求権は相続財産になるので、受け取ってしまうと単純承認事由と判断されてしまいます。
③ 相続放棄を考えている場合、保険金の請求は、保険会社に保険金の受取人が誰であるか、保険金請求権が相続財産か否かを確認してから行う方が無難です。

7)遺族年金の受給
① 遺族年金の受給は、国民年金法等に基づき支払われるもので、受給者固有の権利となり、相続財産には含まれません。遺族年金を受給しても相続放棄は行えます。

8)高額医療費の還付金
① 医療費が一定額を超えた場合、超えた分の医療費が還付されるという制度があります。国民健康保険の場合、還付金は世帯主に支払われるので、還付金は世帯主であった被相続人の相続財産に含まれることになります。
② 還付金を受け取ってしまった場合、単純承認事由に該当すると判断される可能性があるので、相続放棄を検討している場合、高額医療費の還付金申請は慎重に判断する必要があります。
③ 高額医療費の還付金申請は、死亡後に病院から遺族に案内があり、病院の手続きと勘違いして行ってしまうこともあるので注意が必要です。

9)相続人が遺産分割協議をした場合
① 相続人が遺産分割協議をすれば、相続財産を処分したことになり、原則として単純承認事由に当たります。
② ただ、被相続人に多額の債務があることを知らずに遺産分割協議を行った事例では、「遺産分割協議が要素の錯誤により無効となり、ひいては法定単純承認の効果も発生しないと見る余地がある」として単純承認事由に当たらないという判断もあります。(大阪高決)
③ 相続放棄ができるかにより多額の債務を承継するかしないかが大きく異なるので、多額の債務を負ってしまうようなケースでは、諦めずに相続放棄申述をしてみるということも重要です。

3 専門家の関与
① このように単純承認に当たるか否かは微妙なものがあります。
② 債務が多いので確実に相続放棄をしたいという場合は、弁護士などの専門家に関与してもらい、自分がしようとする行為が単純承認事由に該当するか否かを相談しながら慎重にする方がよいでしょう。

【孤独死をめぐるQ&A】Q14 相続放棄① 相続放棄の概説

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【孤独死をめぐるQ&A】Q14 相続放棄① 相続放棄の概説についての記事です。

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【Q14】相続放棄① 相続放棄の概説

幼いときに両親は離婚し、母親が親権者になりました。母親が再婚したこともあり、実の父親とは会っておらず、一切交流がありませんでした。
この度、警察から連絡があり父親が亡くなったことを知りました。父とは生前まったく交流をしておらずどのような財産があるかもわからないですし、交流がなかった父親の遺産を相続する気もないので、相続放棄をしようと考えています。
相続放棄はどのように行えばよいのでしょうか。

【A】相続放棄は、原則として相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。
相続をしないという文書を作成したり、実際に相続手続をしなかったり、自身の相続分を0とする遺産分割協議をしたりしただけでは、相続放棄をしたことになりません。

【解説】

1 相続は負債も承継する

① 相続は、相続開始の時から、認知請求権など被相続人の一身専属権を除く、「被相続人の財産に属した一切の権利義務」を承継します。これを包括承継といいます。
② 相続は「一切の権利義務」を引き継ぐので、預貯金や不動産などの積極財産のみならず被相続人が負っていた借金などの債務も引継ぎます。また、契約上の賃料支払義務や賃貸借契約の原状回復義務など被相続人が締結していた契約から今後生じる義務も承継します。
③ 特定の財産のみを引き継ぐ特定承継と異なり、包括承継では、特定の財産や権利のみを引き継ぎ、特定の財産や権利・義務は引き継がないということを選べません。
④ 財産だけ承継して、負債は承継しないということはできないのです。
⑤ 相続によって承継した財産や負債は相続人の財産と混ざってしまいますので、もし承継した財産よりも負債の方が多い場合、相続人は元々有していた財産から相続した負債を返済する必要があります。
⑥ そのようなことにならないようにするためには、相続人が被相続人の権利も義務も一切受け継がないという相続放棄をするか、相続によって得たプラス財産の限度において、被相続人の債務などのマイナスの財産を相続するという限定承認をする必要があります。相続をしたくないという場合には相続放棄をすることになります。

2 孤独死の場合の相続放棄

① 孤独死した方の相続の場合、相続人はもともと生前に交流をしておらず、どのような財産があるのか、借金があるのかが分からないということも多くあります。
② そのような場合、財産の有無や負債の有無を調査することすら面倒なので、さっさと相続放棄をしてしまいたいという方もいます。
③ また、孤独死の場合、遺品整理や賃貸物件の原状回復など面倒な作業を伴うことがあり、そのような面倒な作業で精神的に辛くなるから相続放棄をしてしまいたいということもあります。

3 相続放棄の仕方

① 相続放棄をするには、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に対して後記の相続放棄申述書を提出する必要があります。
② 遺産分割で自身の相続分を0とする合意をしたり、相続するつもりがないから相続手続きをしなかったりしても、それでは相続放棄をしたことにはなりません。
③ 相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月(熟慮期間)以内にする必要があります。3か月以内に相続放棄をするか決められない場合は、熟慮期間の伸長を申立てることもできます。
④ また、相続放棄の申述をする前に、相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは法定単純承認となり、相続放棄をすることはできなくなります。

4 相続放棄手続きの効果

① 相続放棄の申立てをすると、通常、家庭裁判所から申立人に対して照会書が送られてきます。照会書は、裁判所により異なるかと思いますが、死亡日から3か月以内の相続放棄の場合の照会書、死亡日から3か月経過してから申し立てた場合の照会書など複数の種類があるようです。
② その照会書を返送し、特に申し立て内容に問題がなければ、相続放棄申述受理通知書が送られてきます。
③ 家庭裁判所が相続放棄申述を受理したとしても、それにより相続放棄の効果が確定するわけではありません。相続放棄申述受理は、あくまで家庭裁判所が申立人の相続放棄の申述を受理したということを示すのみで、相続放棄の有効性には影響がありません。
④ 債権者は、法定単純承認事由があった、3か月の熟慮期間を経過してからの申立てであるなどを理由に相続放棄の効力が生じないとして争うことは可能です。

5 相続放棄をした後のこと

1) 相続放棄申述受理通知
① 相続放棄の申述をし、家庭裁判所が相続放棄申述を受理すると相続放棄申述受理通知書が送られてきます。
② 債権者がいる場合、債権者に対し相続放棄をした旨を連絡すると、相続放棄申述受理通知書の写しを送るように依頼されることが多いので、写しを送付して下さい。そうすると債権者が相続放棄を争わない限りは、催告は停止するはずです。
③ なお、債権者は、相続放棄申述が受理されていても、単純承認事由の存在や熟慮期間経過を理由に相続放棄の効力が生じないとして争うことは可能です。
④ 相続放棄申述受理通知書には申述を受理した日の記載がありますが、これは裁判所が申述をした日であり、実際に申述をした日とは異なります。3か月以内に申述をしていればよく、裁判所が申述を受理した日が死亡から3か月経過していたとしても問題はありません。
⑤ 家庭裁判所で相続放棄の申述が却下され、抗告により高等裁判所が申述を受理する決定をした場合、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が来ないようです。その場合、家庭裁判所に相続放棄申述受理証明書の申請をすれば、相続放棄申述受理証明書を発行してもらえます。

2)管理義務
① 相続放棄をしたとしても、放棄した財産を一切関知しないでよいというわけではありません。他の相続放棄をしていない相続人が相続財産の管理を始めることができるようになるまで、「自己の財産におけるのと同一の注意をもって」相続財産を管理しなければなりません。

3)後順位相続人への連絡

① 子が相続放棄をしたような場合、次順位の相続人がいることがあります。そのような場合、後順位の相続人に対し、相続放棄をしたことを伝えておいた方がよいでしょう。
② 必須というわけではありませんが、先順位の相続人が相続放棄をし、自身が相続人になったことを知らずに、債権者からの連絡でその事実を知った場合、「あなたが相続放棄をしたせいで余計なトラブルに巻き込まれた」と後順位の相続人から感情的な攻撃が来ることもあります。
③ なお、第2順位の相続人である父母が双方相続放棄した場合、祖父母が存命だと第3順位の相続人に移る前に祖父母が相続人になります。
④ 子や兄弟姉妹が相続放棄をしても代襲相続人である、孫や甥・姪が相続人になることはないのですが、父母の場合は、相続放棄をすると祖父母が相続人となります。
⑤ 自殺や過労死での突然死のように比較的若年での孤独死の場合、故人の祖父母が存命ということもありますので、注意が必要です。

4)相続人の不存在

① 相続放棄をした場合、最初から相続人にならなかったとみなされます。全員が相続放棄をした場合は、相続人がいないことになります。

5)法改正・相続放棄後の管理責任

① 所有者不明土地問題解決を図る民法う・不動産登記法等の改正に伴い、相続放棄後の管理責任が減縮されます。
② 現在は、相続放棄をした者も、放棄後に事故の財産におけるのと同一の注意義務が課せられていますが、改正民法では、相続放棄時に現に占有していた場合のみ、その財産を保存しておく義務を負うのみとなります。そのため、相続放棄がしやすくなります。
③ 改正民法は令和5年4月1日から施行されます。

【孤独死をめぐるQ&A】Q13 相続財産の調査③ 負債の調査

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【Q13】相続財産の調査③ 負債の調査

遠方の地方に住んでいるおじが亡くなりました。
私が相続人になるらしいのですが、おじには小さな自宅がある以外に特に財産があるかは分かりません。相続は故人の借金も引き継いでしまうと聞いており、もしおじに借金があったら、自宅はそこまでの価値がないので相続放棄をした方がよいのではないかと考えています。
借金の有無を調べることはできるのでしょうか。

【A】すべての借金を調べることはできませんが、信用情報の照会によって、金融機関等からの借入額は調べることができます。

【解説】

1 債務調査の必要性

① 相続は、預貯金や土地などの積極財産も借金などの消極的な財産も全てまとめて承継することになります。
② もし、遺産を相続した結果、故人が多額の債務を負っていることが判明した場合、債務を相続したことによって、相続人がもともと持っていた財産を手放し、最悪は破産を余儀なくされるという可能性もあります。
③ 生前関わっていない方の遺産を相続する場合、負債の調査は必須と考えます。

2 不動産登記の確認

① 故人が不動産を所有していた場合、不動産登記を取得します。金融機関から借り入れをしている場合、所有不動産に抵当権を設定されることがありますので、不動産登記を見て抵当権設定の有無を確認します。
② 登記の乙区に抵当権が設定されており、債務者が故人名であった場合、故人の債務があることになりますので、債権者に連絡し、借入残高を照会します。
③ また、まれに甲区に仮差押えや滞納処分の登記がされていることもあります。その場合も仮差押債権者に対して債務を負っていたり、租税を滞納している可能性がありますので、仮差押債権者や租税債権者に対して、債務の有無、残高を確認します。

3 団体信用生命保険適用の確認

① 住宅ローンなどは、故人の死亡により団体信用生命保険(団信)の保険金で完済されていることもあります。
② 不動産登記を調べてみたら、故人を債務者とする抵当権が設定されていたので債務があると思ったら、団体信用生命保険が適用され、債務はなかったというケースもあります。
③ また逆に、団体信用生命保険で住宅ローンが完済されていると思っていたら、保障金額の上限や保障期間の上限により、団体信用生命保険が適用されず、住宅ローンが残っていたということもあります。
④ 前者の場合、一度借金があると思って相続放棄をしてしまうと、相続放棄は撤回できませんので、後で実は住宅ローンはなかったと気が付いても、もう相続することはできません。
⑤ 後者の場合も、もう住宅ローンはないと思い込んでいたとしても、相続手続をしてしまったり、相続放棄の熟慮期間を経過してしまったりすると、もはや相続放棄は出来なくなりますので、債務を引き継ぐことになってしまします。
⑥ 故人の債務が判明している場合、必ず債権者に連絡をして、借入残高があるか、団体信用生命保険の適用があるかについて、実際に確認してみることをお勧めします。

4 信用情報機関に対する調査

金融機関やノンバンク、カード会社や消費者金融などから借入をした場合、信用情報機関に登録されます。
故人について信用情報機関に登録された情報を確認すれば、金融機関やノンバンク、カード会社や消費者金融などに対する負債を確認することができます。
信用情報機関には、全国銀行個人信用センター(KSC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)があります。相続人であれば、いずれの信用情報機関に対しても故人の信用情報を照会する事ができます。

(1)全国銀行個人信用情報センター(KSC)
① 全国銀行個人情報信用センターへは銀行、信用金庫、JAバンクなどの金融機関からの借入れや金融機関系列の保証会社を利用したときに情報が登録されます。
② 登録情報の開示は、センターへの郵送による申込みでのみの受付となっております。登録情報開示申込みはHPからダウンロードできます。
③ 開示対象者が死亡していることを証する資料、開示請求者が法定相続人であることを証する資料、免許証などの本人確認書類を添付して、開示の申込みをします(これは他の信用情報機関でも同じことです)。
④ 登録情報開示報告書の履歴の残高額の欄から負債の有無や金額が分かります。

(2)株式会社日本信用情報機構(JICC)
① JICCは、消費者金融会社、流通系・銀行系・メーカー系クレジット会社、信販会社、金融機関、保証会社、リース会社などが加盟しており、それらを利用した場合に情報が登録されます。
② JICCの信用情報の開示は、相続人の場合、窓口、郵送、インターネットで申請することが可能です。開示申込書はHPからダウンロードできます。
③ 亡くなった方の信用情報については、法定相続人、配偶者又は二親等内の血族が開示手続きを行うことができます。
④ 信用情報記録開示書のファイルDには、主に貸金業者からの借入情報やキャッシング契約が記載されます。ファイルMには、主にクレジットカードや金融機関などの契約内容が記載されます。
⑤ ファイルDの債権情報の残高の欄やファイルNのトータル残高金額、割賦残高金額、キャッシング残高などの欄から負債の有無や金額が分かります。

(3)株式会社シー・アイ・シー(CIC)
① CICは、貸金業者やクレジット業者が加盟しており、それらを利用した場合に情報が登録されます。
② CICの信用情報の開示は、窓口、郵送、インターネットで申請することが可能です。開示申込書はHPからダウンロードできます。
③ 亡くなった方の開示申込み手続きができるのは法定相続人に限られます。なお、窓口での申請の場合は、配偶者、子及び法定代理人のみに限定されます。それ以外の相続人は郵送により申請をする必要があります。
④ 信用情報開示報告書はクレジット情報、申込み情報、利用記録から成りますが、クレジット情報にクレジットやローン等の契約内容や残高に関する情報が載っています。
⑤ クレジット情報の支払の状況の残債額、割賦販売法の登録内容の割賦残債額、貸金業法の登録内容の残高の欄から負債の有無や金額が分かります。

5 故人が会社を経営したり事業を営んでいた場合

① 故人が会社を経営したり事業を営んでいた場合、従業員がいるのであれば経理担当の従業員に会社の取引銀行や負債の状況を尋ねてみてください。
② 決算書がみられる場合には、決算書の勘定科目明細で会社の負債の状況が分かります。
③ 金融機関からの借入やリース会社との取引の際、会社の代表者が連帯保証をしているケースが多いので、金融機関やリース会社に故人の連帯保証の有無を確認することになります。
④ 故人や故人の経営していた会社が所有している不動産がある場合は、登記を確認して、差押登記や抵当権設定登記の有無も確認してみてください。
⑤ なお、会社の代表者が金融機関からの借入を連帯保証していても、全国銀行個人信用センターに登録されていないというケースは散見されます。KSCの開示に金融機関からの借入れに関する連帯保証が登録されていなくても、会社が借入をしている金融機関が判明しているのであれば、代表者である故人の連帯保証の有無を確認した方がよいでしょう。

6 個人間での借金や連帯保証など

① 信用情報機関を利用していない取引により負った債務や個人間の借入れ、個人間での連帯保証(友人の借入の連帯保証や友人の賃貸借契約の連帯保証など)については、故人が亡くなり、契約書等も手元にないとなると調査をすることは事実上困難です。
② 相続放棄の熟慮期間は3ヶ月ですが、家庭裁判所に延長を申立てることも可能です。債権者の中には、亡くなった後3ヶ月を過ぎてから請求してくるという方もいるので、債務の有無が分からない場合、念のため熟慮期間を延長してみるというのも一つの方法です。
③ また、一定程度の相続財産があることが分かっているので相続をしたいが、どうしても債務があるか不安があり単純承認はしたくないという場合は、極めて使いづらい制度ですが、相続財産の限度で債務を相続するという限定承認という制度の利用を検討するのも一つの方法です。

【孤独死をめぐるQ&A】Q12 相続財産の調査② 有価証券、保険の調査

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【Q12】相続財産の調査② 有価証券、保険の調査

おじが亡くなり、私が相続人になるようです。不動産や預貯金の調査は終わったのですが、おじは投資をしていたとも聞いています。有価証券や保険などの資産はどのように探せばよいでしょうか。

【A】郵便物や名刺などから取引をしている証券会社や保険会社に当たりがつくのであれば、各会社に問合せをすることになります。
上場株式等については、証券保管振替機構に照会するという方法もあります。

【解説】

1 有価証券の調査

(1)取引会社が判明している場合

① 自宅への郵便物や預貯金の取引履歴などから取引をしている証券会社が判明している場合、証券会社に対して、取引記録を取り寄せることになります。
② 金融機関と同様ノベルティグッズや担当者の名刺などから取引している証券会社が判明することがあります。
③ 取引履歴の取寄せ方法は証券会社により異なりますので、証券会社のHPを見るか、問い合わせをしてみて下さい。

(2)取引会社が判明していない場合

① 大手証券会社、信託銀行などに当たりをつけて照会する方法
大手証券会社や地場で有名な証券会社などに対して、口座照会をします。相続人であれば、応じてもらえます。

② 証券保管振替機構への照会
有価証券等の取引をしている場合、株式を持っている可能性もあります。
上場株式等を保有している場合、証券保管振替機構(ほふり)に対して、登録済加入者情報を請求すると、口座が開設している証券会社、信託銀行等が判明します。相続人であれば、この請求ができます。
登録済加入者情報通知書の名寄せされている加入者の口座の欄に口座を開設している口座管理機関の名称が記載されます。
これにより個人の口座開設先が判明するので、その情報を利用して、それぞれの証券会社、信託銀行に対し、取引の内容を照会する事ができます。
これによって上場株式等以外の投資資産が判明することがあります。

③ 証券代行業者への照会
流通性のある非上場株式については、証券保管振替機構に対する登録済加入者情報通知書では確認ができません。
この場合、証券代行業務を行っている信託銀行や東京証券代行株式会社日本証券代行株式会社、株式会社アイ・アールジャパンなどの証券代行会社に株を保有していないか照会をすることも考えられます。

④ ネット証券
ネット証券などを利用した取引については、郵便物ではなく電子メールで届いている可能性もあり、気付きにくいというのが実情です。
もし、故人の電子メールが閲覧できるのであれば「証券」や「口座」「FX」などのキーワードで受信フォルダを検索しても良いかと思います。

2 保険について

(1)保険会社が判明している場合
① 保険証券や生命保険料控除証明などから加入している保険会社が判明します。
② また、金融機関の取引履歴から保険料の支払や保険金の振込があり、保険会社が判明することもあります。
③ 故人の源泉徴収票や納税証明から保険料控除をしているか確認し、保険加入の有無を判断するという方法もあります。
④ 金融機関と同様、担当者の名刺や保険会社のノベルティグッズから当たりを付けるという方法もあります。

(2)保険会社が判明しない場合
① 加入している保険会社が分からない場合、従前は個々の保険会社に問合せていました。
② 令和3年7月から一般社団法人生命保険協会に対して、生命保険協会に加盟している会社において被相続人が保険契約者または被保険者となっている生命保険契約があるかについて調査依頼ができるという生命保険契約照会制度が始まりました。
③ そのため、保険契約の有無が分からない場合には、一般社団法人生命保険協会に照会するとよいでしょう。

【孤独死をめぐるQ&A】Q11 相続財産の調査① 不動産、預貯金の調査

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【Q11】相続財産の調査① 不動産、預貯金の調査

おじが亡くなり、私が相続人になるようです。
おじがいることは知っていましたが、生前まったく交流がないので、おじにどのような遺産があるのか見当もつきません。
故人の遺産は、どこから調査に手を付ければよいのでしょうか。

【A】不動産は登記制度があるので、比較的容易に判明します。
次は、預貯金の取引履歴や郵便物などから財産にあたりを付け、判明したものから各所に照会をしていくことになります。

【解説】

1 不動産の調査

(1)登記の調査

① 自宅を所有していることが分かっている場合、自宅の不動産の登記(全部事項証明)を取得します。登記は誰でも法務局で取得することが可能です。
② 土地の登記を取得するための地番を特定する必要がありますが、地番と住居表示は異なることがあります。地番が分からない場合、土地の所在地を管轄する法務局に問い合わせると教えてもらえます。

(2)名寄帳の取寄せ

① 名寄帳は、その自治体に所有している固定資産(土地・家屋)すべてを把握するためのもので、自治体ごとに所有者単位で所有する全ての資産の所在地や面積、評価額などを記載したものです。
② 相続人であれば名寄帳を取得することができ、名寄帳を取得できれば被相続人がその自治体内で所有している不動産の一覧を取得することが可能です。
③ 名寄帳は、市区町村単位で作られますので、自宅が所在する市区町村の他、不動産を所有しているであろう市区町村に対して、名寄帳の取寄せを申請します。
④ 名寄帳は郵送でも申請することができ、申請用紙は各自治体ホームページから取得できることが多いと思います。被相続人が死亡したこと、申請者が相続人であることを示す書類(戸籍謄本や法定相続情報一覧)を添付する必要があります。
⑤ なお、自治体によっては、名寄帳ではなく、「土地家屋課税台帳」「固定資産課税台帳」という名称のこともあります。

(3)登記簿図書館による検索

① 民間会社が提供しているサービスですが、「登記簿図書館」というサイトでは、所有者名で不動産登記の検索をすることが可能です。同姓同名の人が所有している不動産も出てきてしまいますし、全ての不動産登記を網羅しているわけではないので、必ずしも正確ではありません。
② しかしながら、このサービスで検索をしたことによって、居住している市区長損以外に所有していた不動産の存在が判明することもあります。
③ 生前、どこかに土地を持っていたと言っていたような気がするがどこだか分からないというような場合、念のため登記簿図書館で検索をしてみるとよいかもしれません。

(4)固定資産税がかかっていない不動産に注意

① 自治体により扱いが異なりますが、共有している私道など非課税の不動産については、名寄帳に記載されないことがあります。
② 私道がありそうな場合には、公図を参考に、該当しそうな土地の登記事項証明書を取得して調査した方がよいかもしれません。

2 預貯金の調査

預貯金を調査すると預貯金の流れから他の財産が見つかったりします。そのため、遺産の有無が全く分からないという場合、預貯金から調査することをお勧めします。

(1)相続人の1人からの取引経過の照会

① 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った日から3か月以内に相続放棄をするか単純承認、限定承認をするか決める必要があります。
② そのためには、相続財産がどの程度あるのか知っておく必要があるので、相続人は相続財産を調査することができます(民法915条2項)。
③ 最高裁の判例でも、「共同相続人の1人は単独で相続預金の取引き経過開示請求ができる」と判示し、相続人の1人からの取引履歴の照会を肯定しています。
④ このように相続人であれば、他の相続人の承諾なくして、金融機関に取引履歴を開示するよう請求できます。

(2)取引金融機関が判明している場合

① 故人の財布の中のキャッシュカード、貴重品が入っている引き出しの中に保管されていた預貯金通帳、金融機関からの郵便物などから取引していた金融機関が判明します。
② また、それ以外にも、カレンダーやメモ帳、ボールペンなど金融機関のノベルティグッズから取引金融機関が判明することもあります。
③ 判明した場合には、当該金融機関に対し、取引経過を照会します。必要書類などは金融機関により異なりますが、所定の用紙に記入し、また免許証などの本人確認書類、自身が故人の相続人であることを示す戸籍や法定相続情報一覧などを添付するのが一般的です。

(3)取引金融機関が分からない場合

① 取引先金融機関が分からない場合、メガバンク、ゆうちょ銀行、故人が住んでいた地方の有力地方銀行、住所近辺や勤務先近辺の銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、JAバンクなどを万遍なく回って取引の有無を照会することになります。
② 取引先金融機関が判明している場合と同様、自身が故人の相続人であることを示せば、通常は取引の有無を教えてもらえます。
③ 必要な手続きは金融機関によりことなりますが、取引の有無だけの照会であれば窓口で教えてもらえることもありますので、事前に調査したい金融機関に問い合わせておくとよいでしょう。
④ なお、同じ金融機関の他の支店と取引をしている可能性もありますので、取引の有無を照会する場合、必ず他の支店での取引がないかを確認するようにしてください。

(4)ネット銀行について

① ネット銀行等を利用している可能性もあります。ネット銀行での取引については、金融機関からのお知らせが郵便物ではなく電子メールで届いている可能性もあり、気付きにくいというのが実情です。
② もし個人の電子メールが閲覧できるのであれば、「銀行」「口座」等のワードで受信フォルダを検索しても良いかと思います。
③ また、もしネット銀行で取引をしている可能性があるのであれば、ネット銀行に対して取引の有無の照会をかけることになります。

(5)取引履歴を調査する

① 金融機関は少なくとも過去10年間の取引履歴を保存しています。そのため調査に余裕があるのであれば、過去10年分の取引履歴を取得するとよいのですが、取引履歴の取得には手数料がかかります。
② 手数料は金融機関ごとに違います。
・三井住友銀行:(5年以内)1100円/1年分 (5年超)5500円+550円×月数
・みずほ銀行:330円/月
・UFJ銀行:330円/月
・りそな銀行:220円/月
・ゆうちょ銀行:520円/10年まで
③ 取引履歴を見ると他の金融機関への振込、保険料や貸金庫費用の引落し、地代、家賃の入金、配当収入など故人の資産に関わる様々な情報が判明します。それらの情報により、他の金融機関、証券会社や保険会社との取引が判明していきます。

【孤独死をめぐるQ&A】Q10 遺言書の探し方③ 自筆証書遺言の探し方、貸金庫の開扉 

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【Q10】遺言書の探し方③ 自筆証書遺言の探し方、貸金庫の開扉

一人暮らしをしていたいとこが孤独死をしました。いとこには相続人がいないのですが、いとこと私は生前仲がよかったので、もしかしたら遺言を書いているかもしれません。
公正証書遺言も法務局に預けた自筆証書遺言もなかったのですが、他にはどのような場所を探せばよいでしょうか。

【A】自筆証書遺言は、金融機関の貸金庫や自宅の金庫に保管されていることもあります。
その他、自宅の貴重品が入っている引き出しの中、仏壇や神棚の周辺、本棚、タンスの中、化粧台などに入っていたこともあるので、遺品整理の際に細かく探してみてください。

【解説】

1 金融機関の貸金庫の場合

(1)相続人の場合

① 金融機関との間の貸金庫契約は、「当該貸金庫の場所(空間)の賃貸借」とされます。
② 賃貸借契約ですので、死亡に因っては当然に終了せず、貸金庫契約上の地位は相続人全員で準共有されているという状態になります。
③ 貸金庫契約上の地位は、相続人全員で準共有している状態ですので、相続人全員の同意があれば、遺産分割未了の間であっても、金融機関は内容物の確認をさせてくれます。
④ 他方で、相続人全員の同意がない場合、内容物の確認が拒否されるというケースもあります。この点、貸金庫内の遺産がどのようなものか判明しなければ、相続をするかしないかの判断ができない場合もあり得るので、相続人の遺産の調査権(民法915条2項)に基づき、一部の相続人からだけであっても、内容物の確認を要求できてもよいとも思えます。
⑤ しかしながら、多くの金融機関では、貸金庫の開扉を認めると内容物を持ち出されてしまうおそれがあることから、全相続人の同意を要求するという内規にしており、一部の相続人のみでの貸金庫内の内容物の確認は拒否されることが多いというのが実情です。
⑥ ただ、相続人の人数が多い、相続人の一部が行方不明などの状況により相続人全員の承諾が直ちにもらえないということもあります。
⑦ そのような場合、相続人に遺産調査権があることを前提に、全相続人の同意を直ちにもらえない事情を金融機関に説明すれば、金融機関職員立ち会い、弁護士の立会い、公証人を立ち会わせて内容物の確認について事実実験公正証書を作成するなど内容物の持ち出しがされないような条件を付けたうえで、一部の相続人の同意のみで貸金庫の内容物の確認を認めてくれることもあります。

(2)相続人ではない場合

① 相続人がいない場合、いとこなどの親族は貸金庫契約者の地位を相続していません。金融機関から見れば貸金庫契約の契約者でもないただの親族であり、貸金庫の内容物を確認させる必要はありません。
② したがって、相続人ではない親族は、原則として内容物の確認はできません。
③ しかし、貸金庫内にもし自筆証書遺言があれば、自身が受遺者になっている可能性もあります。また、相続人がいない場合には相続財産管理人選任申立てをすることになりますが、申立には高額な予納金が必要なことが多いのが実情です。
④ 相続財産管理人を選任してもらい、相続財産管理人が貸金庫を開扉したら自筆証書遺言が見つかったとなると、せっかくの相続財産管理人申立費用も無駄になってしまいます。
⑤ このように貸金庫内の他の内容物は確認できなくてよいので、貸金庫内に自筆証書遺言があるかだけでも知りたいという実情があります。
⑥ 原則として相続人でない親族は、貸金庫内の内容物の確認はできないのですが、諦めずに交渉をした結果、貸金庫内に自筆証書遺言があるかだけは確認させてもらえたというケースはあります。
⑦ 相続人以外の場合、原則としては貸金庫内の内容物の確認は困難ですが、諦めずに金融機関と交渉をした方がよいでしょう。

2 自宅を調べる場合

① 自筆証書遺言が自宅で保管されているか否かは、とにかく故人の自宅内を探してみるしかありません。
② 貴重品が入っている引き出しに一緒に保管されているほか、仏壇や神棚、化粧台なども調べてみてください。また、自宅に金庫があるという方もいます。
③ 自宅金庫の中に自筆証書遺言が保管されている可能性があるので開けたい場合、多くの金庫は暗証番号を入れたり、ダイヤルを回したりする必要があります。
④ 故人が予期せず亡くなった孤独死のケースでは、誰も自宅金庫の開け方を教えてもらっておらず、開け方を控えてもいないので、開けたくても開けられないということも多いかと思います。
⑤ 何度かそのような場面に遭遇したことがありますが、いずれのケースでも鍵業者に依頼し、開扉してもらえました。

【孤独死をめぐるQ&A】Q9 遺言の探し方② 自筆証書遺言保管制度について

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、銀行手続、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

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【Q9】遺言の探し方② 自筆証書遺言書保管制度について

一人暮らしをしていたいとこが孤独死をしました。いとこには相続人がいないのですが、いとこと私は生前仲が良かったので、もしかしたら遺言を書いているかもしれません。
公正証書遺言はなかったのですが、生前にいとこは自筆証書遺言を法務局に預けるという制度が始まったということを話しており、その制度を利用しているかもしれません。
自筆証書遺言書が法務局に預けられているか調査する方法を教えて下さい。

【A】法務局に対して、「遺言書保管事実証明書」の請求をすれば、故人が請求者を受遺者に指定している遺言を作成していたか調査することができます。

【解説】

1 自筆証書遺言書保管制度

① 令和2年7月から法務局で自筆証書遺言を預かるという自筆証書遺言書保管制度が始まりました。(遺言書保管法)
② 自筆証書遺言書保管制度を利用すると、
・遺言書の画像情報
・遺言書に記載されている作成の年月日
・遺言者の氏名、生年月日、住所、本籍
・遺言書に受遺者がある場合には受遺者の氏名、住所
・遺言書で遺言執行者を指定している場合は、その者の氏名、住所・遺言書の保管を開始した年月日
・遺言書が保管されている遺言書保管所の名称及び保管番号
などの情報が法務局で記録されることになります。

2 自筆証書遺言書保管の調査

① 故人が自筆証書遺言書保管制度を利用して自筆証書遺言を法務局に預けていたかについて、相続人や受遺者、遺言執行者などの立場にある人(相続人等といいます。)は、全国の遺言書保管所(法務局)で調査をすることが可能です。
② 遺言書が存在した場合、相続人等は、遺言書の内容の証明書の交付を請求したり、遺言書の原本の閲覧、遺言書のモニターによる閲覧をすることができます。
③ なお、遺言書保管官は、遺言書情報証明書を交付し又は相続人等に遺言書の閲覧をさせたときは、速やかに、当該遺言書を保管している旨を遺言者の相続人、受遺者及び遺言執行者に通知することになっています。

3 遺言書保管事実証明書

① 遺言者が死亡した後であれば、誰でも、法務局に対して「遺言書保管事実証明書」の請求をすることにより、故人が自筆証書遺言を保管しているか否かの確認をすることができます。
② この制度により自分が受遺者になっているかもしれないという程度の利害関係でも、自分に関係がある自筆証書遺言が保管されているか否かを確認することができます。
③ いとこでありもしかしたら受遺者に指定されているかもしれないという場合、遺言書保管事実証明書の申請をすれば、自身に関係がある自筆証書遺言が保管されているか否かが明らかになります。
④ 自身に関係がある自筆証書遺言が保管されていなければ、「(あなたに関係のある遺言書は)保管されていない」という証明書が発行されます。
⑤ なお、遺言書保管事実証明では遺言書の内容を知ることはできません。遺言書保管情報証明書を請求し自筆証書遺言が保管されていることが判明したら、次は遺言書情報証明書の交付請求や遺言書の閲覧請求を行い、遺言書の内容を確認する必要があります。

4 請求先

① 遺言書保管事実証明書は、実際に遺言書を保管している遺言書保管所に限らず、どの遺言書保管所に請求しても構いません。
② 窓口で請求する場合には、免許証などの写真付きの公的身分証明証が必要になるので、忘れずにお持ちください。
③ なお、窓口の請求ではなく、郵送による請求をすることも可能です。