【相続・遺言について】財産の信託

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、財産の信託について考えてみたいと思います。

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【Q】①遺言によって財産を信託することができると聞きましたが、「遺言信託」とはどのようなものですか?
②財産の信託によって、生前に受託者と信託契約を結んでおくこともできると聞きましたが、「遺言代用信託」とはどのようなものですか?

【A】◆1.信託とは
質問の回答をする前にまず「信託」という制度の説明をします。
「信託」とは、特定の者が一定の目的に従い、財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう、とされています。具体的な例を示すと、Aさん(委託者)が自分の財産を信頼できるBさん(受託者)に譲渡するとともに、その財産を運用・管理することで得られる利益をCさん(受益者)に与える旨をAさんとBさんの間で合意をするような場合をいいます。そして、この合意により、Bさんは財産を運用・管理・処分する権利を取得しますが、その管理・処分はCさんの利益のために行われなければならない義務を負うことになります。

以上のように「信託」は委託者と受託者との間の契約により設定されるのが通例ですが、そのような「信託」を「遺言」によって設定することもでき、これを「遺言信託」といいます(信託法第3条第2号)。なお、信託銀行で同名のサービスを販売しておりますが、信託銀行などで言う「遺言信託」は遺言書の作成補助及び作成した遺言書の保管・遺言執行者就任を行う全く別のサービスです。
信託法でいう「遺言信託」は、遺言の効力発生、すなわち、委託者である遺言者の死亡によって信託が成立し、効力が発生します。もっとも、いざ、委託者が死亡し、受託者が何もしないということも想定されます。これでは、受益者に不利益が生じる可能性があります。そこで、このような状態を回避するために、法は、遺言に受託者となるべき者として指定をされた者に対して、相当の期間を定めて、その期間内に信託の引受けをするかどうかを確答すべき旨を催告することができるよう定めており(同法第5条1項)、その期間内に委託者の相続人(相続人が存在しない場合は受益者又は信託管理人)に対し確答をしない場合は、信託の引受けをしなかったものとみなされる(同法5条2項)、という定めになってます。

◆2.遺言代用信託とは
ご質問の「遺言代用信託」とは、信託法に定義はありませんが、委託者が生前に遺言の代わりに設定する信託のことを指します。具体的な例として言いますと、高齢者のAさん(委託者)が生前に、Bさん(受託者)に財産を信託して、Aさんが生きている間は、Aさん本人が受益者となり、Aさん死亡時に委託者の妻であるCさんを受益者とする、といったものです。

◆1.で述べた「遺言信託」では、信託財産がAさん(委託者)の死亡後にBさん(受託者)に移転するので、遺言執行手続きに絡んで利害関係人による紛争が起こりやすいというリスクがあります。このようなリスクを回避すべく「遺言代用信託」はAさん(委託者)自らが生前にBさん(受託者)に財産を譲渡し、Aさん(委託者)死亡後におけるCさんへの財産承継を図ることが可能になります。
なお、この「遺言代用信託」も遺留分侵害額請求の対象になることにご注意ください。

【相続・遺言について】秘密証書遺言

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今回は、【相続・遺言】に関して、秘密証書遺言について考えてみたいと思います。

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【Q】①秘密証書遺言はどのように作るのですか?
注意すべきことはありますか?
②他の方式と比べて、秘密証書遺言の長所短所は何ですか?

【A】◆1.秘密証書遺言とは
秘密証書遺言とは、遺言の内容を秘密にしたまま、その存在を公証人に証明してもらう遺言のことです。
自筆証書遺言や公正証書遺言の場合と同様、法の定める方式に従わなければならない点に注意が必要です。

まず、遺言者が遺言書を作成して、署名押印をします。遺言者が遺言書を封筒に入れて封をして、遺言書に使用した印と同じもので封印をします。これを公証人へ持参して、証人2人と公証人の面前で、自分の遺言書である旨を申述します。
公証人は、その遺言書が提出された日付け及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者および証人と共にこれに署名し印を押します。これによって遺言書が存在することが公に証明されます。

秘密証書遺言の作成手続きでは、内容について公証人や証人は関与しませんので、遺言内容が他人に知られることはありません。また、公証人が公証するため、遺言書が本物かどうかといった争いは起こりません。

◆2.秘密証書遺言の長所と短所
①秘密証書遺言の長所
秘密証書遺言は、公正証書と同様に公証人が関与することで、他人による偽造・改ざんの恐れをなくすことができます。遺言の存在を明確にしつつ、その内容を他人に秘密にできる点で、公正証書遺言とは異なる長所を持ちます。
秘密証書遺言は、自分で署名押印をすればよいので、自筆証書遺言と違って、財産目録以外もパソコンを使ったりまたは代筆してもらったりしてもかまいません。
秘密証書遺言の方式に違背があり、秘密証書遺言として認められない場合でも、自筆証書遺言の要件を満たしていれば、有効な自筆証書遺言と認められますので、自筆で作成することも選択肢に入ると思います。

②秘密証書遺言の短所
一方で、秘密証書遺言の短所としては、自筆証書遺言や公正証書遺言に比べて手続きが煩雑なことが挙げられます。また、公正証書遺言と異なり、内容に関しては公証人が関与しませんので、遺言として要件が欠けている場合無効となってしまいます。
できれば公正証書遺言の方式で作成することをおすすめしますが、そうでない場合、内容の考案に当たっては、我々行政書士や弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。
作成された秘密証書遺言は、自筆証書遺言と同様に、遺言者の責任で保存することになります。そのため紛失や滅失、発見されないといった心配があります。
また、公正証書遺言とは異なり、遺言者が亡くなった後に、家庭裁判所の検認を受けなければなりません。

【相続・遺言について】公正証書遺言

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今回は、【相続・遺言】に関して、公正証書遺言について考えてみたいと思います。

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【Q】公正証書遺言はどのように作るのでしょうか?
他の方式の遺言と比べて、公正証書遺言の長所短所はなんですか?

【A】◆1.公正証書遺言とは
公正証書遺言とは、公証人が法律に定める方式に従って作成する遺言です。
公正証書遺言は、次の方式に従って作成されます。
①証人2人が立ち会う。
②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する(口頭で述べる)。
③公証人が、遺言者の口授を筆記し、これを遺言者および証人に読み聞かせ、又は閲覧させる。
④遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押す。ただし、遺言者が署名できない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
⑤公証人が、その証書が①から④の方式に従って作成したものである旨を付記して、これに署名し、印を押す。

◆2.公正証書遺言の作成方法
公正証書遺言は、原則として公証人役場で作成しますが、例外的に、遺言者の身体が不自由であったり、病気等のために公証人役場に行くことが困難な場合には、公証人が、遺言者の自宅や病院等に出張して遺言書を作成することもできます。
そして公正証書遺言を作成するにあたり、通常以下のような書類が必要になります。
①遺言者本人の印鑑登録証明書
②遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本
③財産を相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票
④遺産に不動産が含まれる場合には、その登記簿謄本及び固定資産評価証明書
なお、これ以外にも必要とされる書類がある場合もあるので、事前に公証人役場で確認するのがよいでしょう。
また、公正証書遺言を作成する際には、証人が2人必要となりますが、未成年者・推定相続人・受遺者とそれぞれの配偶者など、一定の範囲の利害関係人は証人になれませんので、これらに当たらない人に証人をお願いしましょう。
いずれの場合でも、遺言内容の確認や必要書類、作成手数料等を事前に公証人と打合せる必要があります。

◆3.公正証書遺言の長所と短所
①公正証書の長所としては以下のことが挙げられます。
公正証書遺言は、公証人が関与して作成されますので、自筆証書遺言のように法定の方式を誤って遺言が無効になるということは、ほとんどありませんし、公証人が遺言者の遺言能力を確認しますので、後に遺言能力について紛争が生じる可能性は、自筆証書遺言の場合に比べれば低いと言えるでしょう。
また、公正証書遺言は、作成後、公証人役場に原本が保管されますので、偽造や変造のおそれや、隠匿、紛失のおそれもありません。また、相続人等の亡くなった人と利害関係を有する人は、公証人役場において、亡くなった人が公正証書遺言を作成していたかどうかを検索することができますので、相続人が公正証書遺言の有無を調べてくれれば必ず相続人に発見してもらえます。
さらに、公正証書遺言は、家庭裁判所での検認の手続きを経る必要がありません。
②公正証書遺言の短所
公正証書遺言の作成にあたり、証人が立ち会いますので、遺言の内容が他人に知られる点です。また、公正証書遺言を作成するのに、一定の手数料が発生します。必要書類の収集や、証人の確保などに手間がかかることが挙げられます。

【相続・遺言について】自筆証書遺言

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今回は、【相続・遺言】に関して、自筆証書遺言について考えてみたいと思います。

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【Q】遺言書はどのようにして作るのですか?
作成する上で、注意すべきことは?
他の方式に比べて、自筆証書遺言の、長所と短所はなんですか?

 

【A】◆1.自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは、遺言者の真意を確保し、偽造、変造を防止するために、すべて自筆で作成することが必要です。民法で厳格に遺言の方式を規定し、その方式を満たさないものは無効とされます。
自筆証書遺言の場合は、遺言の全文自書、日付及び氏名の自書、これに押印が必要です。

◆2.自書とは
文字通り、自分で書くことです。したがってパソコン等により作成することや、代筆をさせることはできません。判例では、カーボン複写を用いた遺言は有効とされています。自書する場合、他人の助けを借りる程度で、他人の意思が介入したと認められないことが筆跡上判定できる場合には、自書の要件を満たしており有効とされます。

◆3.相続財産目録についての自書要件の緩和
平成31年1月13日より自筆証書遺言の自書を一部緩和する法改正が施行されました。
民法第968条2項は「前項の規定にかかわらず、自筆証書とこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。」と改正し、自書を相続財産目録に関しては、不要としました。
偽造防止として、自書によらない目録の毎葉に遺言者の署名及び押印を要求し、特に自書によらない記載が両面にわたる場合については、その両面に遺言者の署名押印を要求しています。
これにより、相続財産目録に関しては、パソコン等による作成、代書、不動産登記事項証明書、預貯金通帳の写しなどを添付することが可能となりました。

◆4.日付の記載
日付は、遺言作成時の遺言能力の有無、内容の抵触する遺言の先後関係を明らかにして撤回の有無の判断をするために、自書して記載することが必要です。
日付がない場合遺言は無効です。
日付は年月日を明らかにすることが必要です。西暦でも元号でも結構です。例えば、日付が特定されれば構わないので、月日の記載を「自分の誕生日」という表現にしても有効とされています。
ただし、令和2年1月吉日のような記載は、日付が特定されないので無効です。
日付の記載場所は、本文を記載して、署名の前に記載されるのが通常です。
裁判例では、遺言の全文、氏名を自書して押印したものを封筒に入れ、封印(遺言書に押印した印鑑と同じもの)し、封筒に年月日を記載した場合も有効と判示されています。
ただ、争いを避けるために、本文の後、署名の前に日付を記載しましょう。

◆5.氏名の記載
氏名は、遺言者と同一性を確認することができれば足りるので、雅号などでもよいです。判例では、名のみの記載であっても、遺言の他の記載内容から遺言者の同一性が分かる場合には、有効と判示されたものがあります。
争いを避けるために、署名は戸籍上の氏名を正確に記載してください。

◆6.押印
押印は、遺言者の同一性及び遺言者の意思に基づくことを担保するためですので、遺言者本人が押印してください。
使用する印に別段制限はありません。判例では指印も有効としています。後々の争いを避けるためには、実印を使用して、印鑑証明書を添付することが望ましいでしょう。

◆7.自筆証書遺言の長所と短所
①長所
他の遺言の様式に比べ簡易であること。
②短所
要式通りに作成するのが困難であり、無効や紛争になりやすい点です。
作成したい自筆証書遺言を如何に保存するか、紛失や偽造、破棄の危険性が高いという点です。

◆8.自筆証書遺言の保管制度の新設
平成30年7月6日に「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が成立されました。施行は令和2年7月10日です。
これは自筆証書遺言のみを対象に、遺言書保管所で遺言書保管官が取り扱います。遺言者が自ら遺言書保管官に対して一定の申請書を添付して遺言書の保管を申請します。
申請できる遺言書保管所には定めがあり、遺言者の住所又は本籍又は所有不動産の所在地を管轄する遺言書保管所になります。
遺言者はいつでも遺言書保管官に対して、内容の閲覧や撤回を申し出ることができます。
また、誰でも、特定の死亡している者について、自分が相続人、受遺者等になっている遺言書が、遺言書保管所に保管されているか、保管されている場合には、遺言書保管事実証明書の交付を請求できます。
相続人、受遺者等は遺言書保管ファイルに記載されている事項を証明した書面の交付を請求できます。
この制度により、今まで短所として考えられていた点のうち、所在不明や偽造を防止する仕組みが整ったと言えるでしょう。

【相続・遺言について】遺言能力

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺言能力について考えてみたいと思います。

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【Q】①父が遺言書を作成しようとしているのですが、遺言書は誰でも作れるのでしょうか?

②父に視覚機能障害がある場合、遺言書を作成することはできるのでしょうか?
また、言語機能障害や聴覚機能障害がある場合はどうでしょうか?

③父も高齢になり、認知症が進行して、1年前、後見開始の審判を受けました。父は遺言書を作成することはできないのでしょうか?
仮に父が後見ではなく、保佐開始や補助開始の審判を受けていた場合であれば、遺言書作成に関して、何か違いがあったのでしょうか?

【A】◆1.遺言書を作成できる者
遺言を作成するには、民法上遺言作成能力が必要とされており、法律上は、満15歳になった者は遺言を作成することができるとされています。
もっとも、遺言をするときに、判断能力(法律上は意思能力という)がなければならないと規定されています。そのため、判断能力がない状態で遺言を作成しても、その遺言は無効となります。
したがって、ご質問のお父さまは判断能力に問題がなければ、有効に遺言を作成することができ、判断能力がないときには遺言が作成できないということになります。

◆2.視覚機能障害、言語障害、聴覚障害のある場合
①お父さまに視覚機能障害がある場合
普通方式の遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。

ア)自筆証書遺言は、遺言者が遺言書全文を自書しなければなりません。ここで、遺言者が文字を知り、かつ、これを筆記する能力を自書能力といいます。
視覚機能障害がある方でも、自分で字が書ける場合であって、遺言書のすべてを自書した場合には、遺言は有効に成立すると言われています。

イ)公正証書遺言は、遺言者が遺言内容を口頭で、公証人へ伝え、公証人がこれを筆記し、公証人がその内容を遺言者に読み聞かせ、または閲覧させることで、内容を確認してもらうことで作成されます。そのため、視覚機能障害がある方でも、遺言の内容を公証人へ伝え、公証人から遺言の内容を聞いて、内容を確認する能力があれば、遺言書は有効に作成することができます。

ウ)秘密証書遺言は、公証人1人および証人2人の前に封印した遺言書を提出して、遺言の存在は明らかにしながら、内容は秘密にして遺言書を保管することができる方式です。この場合遺言者は、公証人と証人の前に遺言書に使用した印と同じ印を使用して封印した封書を差し出し、自己の遺言である旨と、遺言者の住所と氏名を述べなければなりません。
この秘密証書遺言の場合、封印した遺言書には遺言者の署名と押印が必要ですが、それ以外の記載には法律上制限がありません。そのため視覚機能障害がある方が、全文自書された場合やパソコンで本文を作成されても、又は、他人に代筆を頼んで作成しても、遺言能力があれば、これは有効なものとなります。

②お父さまに言語障害、聴覚障害がある場合

ア)ます、自筆証書遺言は自書能力があれば、有効に作成することができます。

イ)公正証書遺言は作成につき、遺言者は遺言内容を口頭で公証人に伝えなければなりません。しかし、遺言者が言語障害や聴覚障害の方の場合、口頭で伝える代わりに、通訳人の通訳(手話通訳等)により申述し、又は筆談で公証人に伝えることで、遺言書を作成することができます。
公証人が作成した遺言書を読み聞かせなければなりませんが、これも通訳人を介して行えば問題はありません。

ウ)秘密証書遺言の場合、遺言者が自書やパソコンで遺言書を作成できれば、有効な遺言書が作成できます。
公証人と証人に遺言者が遺言書を作成した旨と、氏名と住所を申述しなければなりませんが、通訳人を介して申述するか、封印をした封筒に自書することで有効に秘密証書遺言を作成することができます。

◆3.判断能力に問題がある場合
①お父さまが後見開始の審判を受けている場合
判断能力が常にない者に対して後見開始の審判話されます。そのため、後見開始審判を受けた者(成年被後見人)は、原則として遺言を作成しても、有効なものと判断されません。
一時的に判断能力を回復した時に遺言を作成する場合には、医師2名の立ち会いがあれば、有効に遺言を作成することができます。
成年被後見人が遺言を作成する場合、その後見人や後見人の配偶者や子に対して利益となる遺言を作成しても無効と規定されています。もっとも、後見人などが、成年被後見人の配偶者や直系血族や兄弟姉妹であった場合にはこの規定は適用されず、遺言は有効となります。

②お父さまが保佐開始の審判、補助開始の審判を受けた場合
判断能力が低下した場合、その判断能力を補うために、保佐開始の審判や補助開始の審判がなされることがあります。その場合、一定の行為について、保佐人や補助人の同意が必要となることがあります。同意がない行為は保佐人や補助人によって取り消されることとなります。
しかし、法律上被保佐人や被補助人が遺言を作成するときには、保佐人や補助人の同意は必要ありませんので、被保佐人や被補助人は有効に遺言を作成することができます。

 

【相続・遺言について】遺言書の書き直し

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【Q】私は、今、長男に自宅を相続させるという内容の遺言書を作成するつもりです。しかし、遺言書作成後に事情が変わって、次男に自宅を相続させたいという場合、一度作成した遺言書を書き直すことはできるのでしょうか?
また、長男に自宅を相続させるという内容の遺言書を作成した後に、自宅を売却することが必要になった場合、自宅を売却することはできるのでしょうか?

【A】◆1.遺言書の書き直しについて
遺言とは、遺言者の最終意思を法律上も尊重しようという制度ですので、生前にその意思が変わった場合には、何らの理由無く、いつでも書き直すことができますし、前にした遺言を撤回することもできます。
そしてその撤回権を放棄することはできません。つまり遺言書に「この遺言は今後絶対に取り消さない」と書いてもそのような記載に効力はなく、自由に撤回できます。
遺言の撤回をするときは、その旨の遺言書を作成するのが一般的です(撤回遺言による撤回)。その際、撤回の対象となった遺言書と同一の方式による必要はありません。つまり、公正証書遺言を撤回するのに、自筆証書遺言でも撤回できるということです。遺言書の内容は「遺言者〇〇は令和〇年〇月〇日付で作成した自筆証書遺言を全部撤回する」といった条項を盛り込むのです。
ここで注意しておくこととして、撤回遺言も遺言ですので、民法に定めのある遺言の方式を守らなければいけないということです。撤回遺言が方式を満たしていないときには、撤回遺言が無効となります。

◆2.遺言書を作成した後の抵触行為について
遺言の撤回は、撤回遺言を作成しなければならないわけではありません。遺言書を作成した後に、その内容に抵触する行為があった場合には、その抵触する部分については、遺言書の内容を撤回したとみなされます。これは抵触行為をした遺言者の意思を考えれば、前の遺言の効力の存続を望まないことが明らかであると言えるからです。
①.抵触遺言
前にした遺言と抵触する内容の遺言がなされた場合、その抵触する部分については撤回があったものとみなされます。撤回遺言と似ていますが、抵触遺言の場合、遺言の条項中に「撤回する」という文言がなくても、また遺言者が前にした遺言内容を忘れていた場合でも、撤回の効力が生じます。
例えば、前の遺言で「甲不動産をAに遺贈する」としておきながら、後日「甲不動産をBへ遺贈する」との遺言を作成した場合は、Aへの遺贈は撤回されたものとみなされます。この場合、後の遺言書に「Aへの遺贈を撤回する」と書く必要はありません。
②.抵触する生前処分
遺言者が遺言をしたのちに、その遺言内容に抵触するような行為をした場合、その抵触する部分について遺言書の記載は撤回されたものとみなされます。例えば「遺贈する」と遺言書に書いておいた物を、第三者へ売却した場合などです。
また、抵触する行為には身分行為も含まれるとされています。裁判例では、遺言者が、妻に財産を相続させる旨の遺言をした後に、協議離婚した場合や、終生扶養を受ける前提で養子縁組をし、財産を養子に遺贈する旨の遺言をした後に、協議離縁をし、かつ実際に扶養を受けていない場合に遺言の撤回を認めたものがあります。
③.遺言書または遺贈の目的物の破棄
遺言者が故意(わざと)に遺言書や遺贈の目的物を破棄した場合に、その破棄した部分について遺言が撤回されたものとみなされます。
遺言書の破棄とは通常は、遺言書を捨てたり、切断したり、文字を塗りつぶしたりして、内容が判別できないようにしますが、最高裁判例では、遺言者が自筆証書遺言の文面全体の左上から右下に斜めに赤色ボールペンで斜線を引いた場合に、文字が読めるとしても、行為一般の意味に照らすと、遺言書全体を不要とし、かつ、遺言全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当であるとして、「故意に遺言書を破棄したとき」に該当すると判示したものがあります。
遺贈の目的物の破棄とは、例えば、遺贈するとしていた建物を取り壊すなどを言います。

◆3.本件について
相談者は一度作成した遺言書を自由に書き直す(撤回する)ことができます。よって、長男に自宅を相続させるという内容の遺言を撤回する旨の遺言(撤回遺言)、または、次男に自宅を相続させるという内容の遺言(抵触遺言)をすれば、長男に自宅を相続させるという内容の遺言は撤回されたものとみなされます。
また、相談者が生前に自宅を処分することは自由ですので、次男に自宅を贈与すれば「抵触する生前処分」に該当するため、長男に自宅を相続させるという内容の遺言は撤回されたものとみなされます。

【相続・遺言について】遺言書の作成

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今回は、【相続・遺言】に関して、遺言書の作成について考えてみたいと思います。

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【Q】
①私も高齢になって来たので、相続について考えるようになりました。私には妻と子供2人がいますが、皆仲が良いので私の死後財産を巡ってもめるようなことはないと思います。私のような場合遺言書を作成する必要性はあるのでしょうか?
②遺言書を作成しようと思うのですが、遺言には種類があると聞きましたが、どのようなものでしょうか?
③私は、妻と相続について話し合っています。妻と一緒に同一の書面で遺言書を作成することは構わないのでしょうか?

【A】◆1.遺言は有益なもの
遺言書を作るか、作らないかは、あなたの自由ですので、奥さんとお子さんとの間で争いがおきるおそれがないと思われるのであれば、作らなくてもかまいません。
しかし、遺産をどのように分けるのか、特に不動産、預貯金、有価証券、現金、貴金属、骨董品など多くの種類がある場合、誰がどの遺産をどのくらい相続するか、話し合って決めるのはかなり手間と時間がかかります。その間にもめごとが起こる可能性もあります。
あなた自身で、ご自分の財産を誰にどのように相続してもらいたいかを決めて遺言書に記しておくことは、それなりの意味を持つと思われます。
その際に、付言事項という、遺言書として法的な効力はないものの、あなた自身の気持ちを遺族に伝える項目を記すこともできます。
この付言事項によって、残された遺族がもめることなく、遺残を相続できるとも言えます。

◆2.遺言の種類
遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、特別方式による遺言があります。この中で、特別方式による遺言は、危急時遺言、隔絶地遺言があります。以下では、利用されることが多い、自筆証書遺言、公正証書遺言を説明します。

①自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者が、全文、日付、及び氏名を自書し、印を押すことによって出来上がります。
全文、日付、氏名を全部自分で書かねばならず、パソコンを使用したり、他人に代書してもらったりは、無効です。ただし、今回の民法改正により、平成31年1月13日からは、相続財産の目録については、自書でなくともよくなりました。パソコンで作成したり、代書を頼んだり、預貯金の通帳のコピーを使用したり、不動産登記の全部事項証明書を目録として使用することもできます。
この場合、偽造などを防止するために、目録の各葉に署名と押印が必要です。
印は実印でも、認印でも構いません。
このように自筆証書遺言は自分一人で作成できるメリットがありますが、紛失したり、変造されるといったデメリットもあります。
この点、令和2年7月10日より法務局が自筆証書遺言を預かってくれる法制度が開始されます。

②公正証書遺言
公正証書遺言は、法務大臣が任命監督する、公証人(元裁判官や元検察官等)が作成するもので、遺言者が、成年に達した証人2人の立会いの下、公証人に遺言の趣旨を口述し、公証人がそれを筆記し、公証人がそれを遺言者及び証人に読み聞かせ、閲覧させ、筆記が正確であることが確認されたら、それぞれが署名押印し、最後に公証人が署名押印をすることによって出来上がります。
公正証書遺言は、原本を公証役場で保管しますので、紛失や変造の恐れはありません。
公正証書遺言を作成する際に、公証人が遺言者の意思や判断能力(遺言能力)を確認してくれますので、後日無効と判断されにくいというメリットがあります。

◆3.共同遺言の禁止
共同遺言(同一の書面で複数の人が遺言を作成すること)は禁止されています。
その理由として、遺言は遺言者の最終の意思の基づき、自主独立になされるべきであり、また撤回の自由を認められているので、共同遺言は他人の意思の影響を受けていると疑いを生ずる余地があり、撤回の自由を妨げる恐れがあるからです。

新年のご挨拶

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

昨年中は大変お世話になりました。本年も一層のご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

本年の営業は本日1月6日より開始いたしております。

年末年始家族が集まり、様々な話に花が咲いたことでしょう。相続や遺言、終活についてのお話しもあったかと存じます。

当事務所では、世田谷区内を中心とした都内の皆様からの、相続、遺言、終活についてのご相談を承っております。

初回相談60分無料とさせていただいておりますので、是非お気軽にお問合せ下さい。

お問い合わせは事務所03-3416-7250または携帯電話090-2793-1947まで。

自動車販売店様も新春の仕事始めを迎えられていることと存じます。
東京都内の車庫証明のご用命は弊所へお申し付け下さい。

お問い合わせは携帯電話090-2793-1947まで、お待ちしております。

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本日は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場:世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅徒歩1分

日時:令和2年1月18日(土)13:00~16:30

(最終受付:16:00)

予約番号 080-7025-8357(受付:行政書士ナカムラオフィス)

ご予約の方優先ですが、飛び込み参加も歓迎です。

皆様のお越しをお待ちしております。

セミナー開催案内

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回はセミナー開催のお知らせをします。

遺言書に関するセミナーを、世田谷区の行政書士で構成する「せたがや暮らしの相談会」が行います。私もメンバーとなっております。

会場:世田谷区立玉川福祉作業所

二子玉川駅駅徒歩3分(世田谷区玉川1-7-2)

日時:令和元年12月5日 13:30~15:00

予約電話番号03-3707-0498(受付:玉川福祉作業所 橋本)

セミナー終了後、無料相談できます。

皆様のお越しをお待ち申し上げております。