【改正民法債権編】相殺

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、相殺について考えてみたいと思います。

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相殺

判例・実務で積み重ねられてきた見解を明文化

 

◆相殺とは
相殺とは、2人の当事者が互いに同種の債権債務を有する場合に、一方当事者の意思表示によって、債権債務を対当額で消滅させる制度です。
たとえば、AがBに対して1000万円の売掛債権を、BがAに対して800万円の貸金債権を有しているとします。
この場合、Bはこれらの債権債務を相殺することで、Aに対して差額の200万円のみ支払えばよくなります。

 

◆相殺の禁止
(1)当事者による相殺禁止の意思表示と第三者への対抗力
相殺は、取引にかかるコストを下げることができる合理的な制度ですが、当事者の意思に反してまで認める必要はありません。

そのため、旧法では、「当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。」(旧法505条2項)とされていました。
今回、規定の趣旨をより明確にするため、「当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。」(新法505条2項)という表現に改正されました。

(2)不法行為債権の債務者による相殺の禁止
従来から、不法行為によって生じた債権の債務者は、債権者に対し、他の債権による相殺を主張できないとされていました(旧法509条)。
これは、加害者が被害者に対して負う損害賠償債務を、貸金債権など他の債権との相殺をもって免れることを禁止する趣旨です。

しかし、一口に不法行為といっても幅がありすぎるので、今回の改正では、「悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務」と「人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務」に限り、相殺を禁止することとされました(新法509条)。

 

◆差押を受けた債権を受動債権とする相殺の禁止
旧法では、「支払いの差止めを受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない。」とだけ規定していました。
今回の改正では、これまでの判例・実務の見解を明文化しました。旧法の上記規定に加えて、差押えを受けた債権の第三債務者について、次のことが明示されました。
①「差押え前に取得した債権による相殺」を差押債権者に対抗できること(新法511条1項後段)
②差押え後に取得した債権(他人から取得した債権を除く)が「差押え前の原因に基づいて生じたもの」であるときは差押債権者に対抗することができること(新法511条2項)

 

◆相殺の充当
旧法は、複数の債権債務がある状態で当事者が相殺の意思表示をした場合に、どのような順序で相殺が充当されるのかについて、「第488条から第491条までの規定は、相殺について準用する。」とだけ規定していました。
今回の改正では、相殺の充当の順序等を明示しました(新法512条、512条の2)。

【改正民法債権編】弁済に関するルールの整理2

【改正民法債権編】弁済に関するルールの整理1

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、弁済に関するルールの整理1について考えてみたいと思います。

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弁済に関するルールの整理1

旧法下で不明確であった点を条文で明確化

 

◆弁済とは
弁済とは、債務者が債務の本旨に従って給付を実現することを言います。
たとえば、売買契約を締結すると、買主は売主に対してお金を支払う義務(売買代金債務)を負いますが、この義務は、買主が売主に代金全額を支払うことで消滅します。

旧法ではこの当然の原則が条文に規定されていなかったため、新法では「債権の消滅」の節の冒頭に「債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は消滅する。」という規定を設けました。(新法473条)。

 

◆第三者による弁済
債権は、特定の者(債務者)に対する請求権ですから、債権者が弁済を請求できるのは債務者だけです。仮に債務者に資力がなく、かつ、その親が資産家だったとしても、債権者は債務者の家族に債務の履行を請求することはできません。

しかし、債務者以外の第三者が、自らの意思で弁済することを希望するのであれば、これを認めても債権者にとって不利益にならないでしょう。
そのため、民法は「債務の弁済は、第三者もすることができる。」(旧法474条1項本文、新法474条1項)と定め、第三者による弁済を原則として認めています。

しかし、誰であっても、どのような債務であっても、第三者の弁済を認めることにすると、当事者にとって不都合が生じる可能性があります。
そこで、新法では、どのような場合に第三者弁済をすることができないのかを下記のように整理しました。
【第三者による弁済が認められない場合】
「主体」弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、
「原則」債務者の意思に反して弁済をすることができない。
「例外」債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは有効な弁済となる。(新法474条2項)

「主体」弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、
「原則」債権者の意思に反して弁済をすることができない。
「例外」その第三者が債務者の委託を受けて弁済する場合において、そのことを債権者が知っていたときは有効な弁済となる。(新法474条3項)

 

◆受領権者としての外観を有する者に対する弁済
旧法においては、受領権限のない者に対する弁済の効力について「債権の準占有者に対する弁済」という表現を使って規定していました(旧法478条)。
しかし、この「債権の準占有者」というのが何を指しているのかわかりにくかったため、これを「受領権者としての外観を有する者に対する弁済」という表現に改めました(新法478条)。

そして、弁済の受領権者以外の者に対してした弁済は、原則として「債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ」有効としつつ(新法479条)、「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するもの」に対して弁済をしたときは、弁済者がその者を真実の受領権者であると過失なく信頼して弁済したときに限り、有効な弁済として取り扱うことを規定しました(新法478条)。

このほか、旧法では真正な受取証書を持参した者については「弁済を受領する権限があるものとみなす」という規定がありましたが(旧法480条)、現代では存在意義が乏しいとして、今回の改正で削除されました。

【改正民法債権編】債権譲渡における債務者の抗弁

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、債権譲渡における債務者の抗弁について考えてみたいと思います。

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債権譲渡における債務者の抗弁

異議をとどめない承諾による抗弁の切断を廃止

 

◆抗弁の切断の廃止
旧法では、債務者が債権譲渡を承諾する際、債権の譲渡人に対して主張し得た抗弁を主張せず、単に承諾だけを行なうと(異議をとどめない承諾)、債務者は債権の譲受人に対し、主張し得た抗弁を対抗できないとされていました(旧法468条1項)。

抗弁とはたとえば、当該債権が成立していない、すでに当該債権について弁済をしているなど、債権の成立・存続・行使等を阻害する事由をいいます。
債権が譲渡されたことを単に承諾しただけで、抗弁の喪失という債務者にとって予期しない効果が生じることは、債務者の保護の観点から問題がありました。

そのため新法では、債務者は、対抗要件を具備した時(債務者が譲渡通知を受けるか、または譲渡の承諾をした時)までに譲渡人に対して生じた事由をもって、譲受人に対抗できることとしました(抗弁の切断の廃止、新法468条1項)。

 

◆債権譲渡と相殺
新法において、債権譲渡がなされた場合、債務者は次の①~③のような債権(反対債権)がある場合には、譲受人に対し、相殺の抗弁を主張できることが明文化されました。
①債務者対抗要件具備前に取得した譲受人に対する債権(新法469条1項)
②債務者対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた譲渡人に対する債権(同2項1号)
③譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた譲渡人に対する債権(同2号)

ただし、②と③については、債務者対抗要件具備後に取得した他人の債権である場合には、相殺の期待がないものとして相殺ができません(新法469条2項ただし書)。

【改正民法債権編】将来債権の譲渡・対抗要件

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今回は、【改正民法債権編】に関して、将来債権の譲渡・対抗要件について考えてみたいと思います。

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将来債権の譲渡・対抗要件

将来債権の譲渡について判例法理を明文化

 

◆将来債権の譲渡
債権譲渡は、すでに発生している債権だけでなく、将来発生する債権についても行なうことができます(新法466条の6第1項)。

この将来債権の譲渡は、旧法下でも判例上認められていましたが、新法はこの判例法理を明文化しています。
なお、将来債権の譲渡を行なうにあたっては、債権の発生原因、譲渡の対象となる金額等によって、債権を特定する必要があります。

将来債権の譲渡がなされた場合、将来債権が発生した時点で、債権の譲受人が発生した将来債権を当然に取得するとしています(同2項)。これも判例法理を明文化したものです。

 

◆債権譲渡の対抗要件
(1)債務者対抗要件
債権譲渡は、当事者間の合意によって成立するもので、債務者の承諾等も、契約書や証書等の書類の授受も必要ありません。

しかし、これでは債務者にとって、誰が債権者であるか確定できず、誰に弁済してよいかもわかりません。
そこで、民法は、債権譲渡の譲渡人が債務者に債権譲渡を通知し、または債務者が承諾しなければ、債務者その他の第三者に対抗することはできない(債権譲渡に基づいて、債権の譲受人が債務者に弁済を求めることができない)としています(新法467条1項)。

これは、「債務者対抗要件」といわれており、この債務者対抗要件の制度は、新法でも旧法でも違いがありません。
ただ、新法では、現に発生していない債権の譲渡を含むとされ、将来債権の譲渡の場合も、債権発生前の段階で対抗要件を備えることができるという判例法理が明文化されています。

(2)第三者対応要件
債権譲渡の債務者以外の第三者に対抗するためには、債務者への通知または債務者の承諾を「確定日付のある証書」によって行う必要があります(法467条2項)。
このような「第三者対抗要件」も、新法と旧法で違いはありません。

 

◆将来債権の譲渡と譲渡制限との関係
将来債権の譲渡後、譲渡人と債務者との間で、債務者対抗要件を具備する時までに、譲渡対象となる将来債権について譲渡制限を付ける旨の合意がされた場合、譲受人その他の第三者は譲渡制限が付いていることを知っていた(悪意)とみなされます。そして、その結果、債務者は、譲受人その他の第三者に対し、債務の履行を拒否することができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって、その第三者に対抗することができます(新法466条の6第3項)。

【改正民法債権法】債権の譲渡性とその制限2

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今回は、【改正民法債権編】に関して、債権の譲渡性とその制限2について考えてみたいと思います。

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債権の譲渡性とその制限2

譲渡禁止特約のある債権の譲渡が有効とされた

 

◆譲渡制限付き債権の債務者の供託
譲渡制限付き債権が債権譲渡された場合、債務者としては、誰に弁済を行なってよいかわからなくなることがあります。
そこで、新法では、金銭支払いを目的とする譲渡制限付き債権が譲渡された場合、債務者は、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託できることとしています(新法466条の2第1項)。

これは旧法にはなかった新たな供託原因を創設するものです。新法では譲渡禁止特約に違反する債権譲渡も常に有効で、譲受人が債権者となります。このため、債務者は旧法で可能であった「債権者不確知」(債権者が誰かわからないこと)による供託ができず、この規定が設けられました。

この定めに基づいて供託をした債務者は、遅滞なく、債権の譲渡人と譲受人に供託の通知をしなければなりません(同2項)。なお、供託された金銭は、債権の譲受人に限り、還付請求をすることができます(同3項)。

また、金銭支払いを目的とする譲渡制限付き債権が譲渡された場合において、譲渡人について破産手続開始決定があったときは、譲受人は、譲渡制限について悪意または重過失があったとしても、債務者に対し、その全額を供託させることができます(新法466条の3)。

これは、債権譲渡後に譲渡人に破産手続開始決定がなされた場合に、債務者が譲受人よりも先に破産管財人に対して弁済する可能性があり、その場合、譲受人の金銭債権の回収が困難になるおそれがあるからです。

 

◆譲渡制限付き債権の差押え
新法466条3項の規定は、譲渡制限付き債権に対する強制執行をした差押え債権者には適用されません(新法466条の4第1項)。

譲渡制限付き債権が差押えられた場合、仮に、債務者が差押債権者に対して譲渡禁止特約をもって対抗できる(譲渡制限により、差押債権者に支払うのではなく、元の債権者に対して支払いをできる)とすれば、私人間で自由に差押禁止財産を作り出せることになってしまいます。そのため、判例法理では差押債権者に対して対抗することを認めていませんでした。
新法は、このような判例法理を明文化したものです。

また、譲渡制限付き債権であることについて、譲受人等に悪意または重過失がある場合に、その債権者が同債権に対する強制執行をしたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって、差押債権者に対抗することができます(新法466条の4第2項)。
この規定は、差押債権者に対して、元の権利者(譲渡制限付き債権の譲受人・差押債務者)が有する以上の権利を認める必要がないことから、定められたものです。

 

◆預貯金債権に関する譲渡制限
前述のとおり、新法は、譲渡制限付き債権が譲渡された場合でも、その債権譲渡を有効としています。
しかし、譲渡制限のある預貯金債権について、悪意または重過失の譲受人等の第三者との関係では、従来通り、債権譲渡は無効となります(新法466条の5第1項)。

これは金融機関は日々、大量の預貯金の払い戻し等の作業が必要で、新法が定める一般原則で債権譲渡を有効にすると、これまで譲渡制限によって回避してきた過誤払いのリスクが生ずること等を考慮したものです。

ただし、譲渡制限付預貯金債権の差押えがされた場合には、譲渡制限をもって対抗できません(新法466条の5第2項)。
これは、譲渡制限付債権の差押えと同様、私人間の合意により差押禁止財産を作り出すことはできないという判例法理を明文化したものです。

【改正民法債権編】債権の譲渡性とその制限1

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債権の譲渡性とその制限1

譲渡禁止特約のある債権の譲渡が有効とされた

 

◆債権の自由譲渡性
債権譲渡とは、債権の同一性を保ちながら契約により債権を移転させることです。債権譲渡は、債権取立や担保としても利用され、また、証券化等の手法によってさまざまな金融スキームにも組み込まれているので、現代社会においては資金調達の手段としても重要な地位を占めています。

債権譲渡は、旧法でも、新法でも、原則として自由に行うことができます(債権の自由譲渡性、法466条1項)。ただし、債権の性質がこれを許さないときは譲渡ができません(法466条1項ただし書)。性質が譲渡を許さない債権とは、たとえば、自分の肖像画を描いてもらう債権など、債権者が異なることによって給付内容が異なることになる債権等です。

 

◆債権の譲渡制限
債権譲渡は、当事者が債権譲渡を禁止し、または制限する旨の意思表示を行なうことによって制限することができます(譲渡制限付債権)。
旧法では、債権が譲渡制限に反して譲渡された場合の効力については、「善意の第三者に対抗できない」(旧法466条2項)と規定され、譲受人が譲渡制限を知っていたか(悪意)、知っていたことについて重い過失(重過失)がある場合には、当該債権譲渡は無効とされていました。

しかし、この旧法の規定では、当事者の主観によって債権譲渡の有効性が左右されるため、取引の安定性に欠けるとの指摘がなされていました。
そこで、新法は、債権の流動化を図り、債権譲渡を実効性ある資金調達手段とするために、譲渡制限に反する債権譲渡であっても有効としました(新法466条2項)。

 

◆譲受人に悪意または重過失がある場合
譲渡制限付債権の譲受人が、譲渡制限の存在について悪意か、知らなかったことについて重過失があるような場合には、譲受人を保護する必要性は低い一方で、債務者としては、弁済先が変更されたことによる手間や費用等がかかるという不利益を受けます。

そこで、新法では、債務者は、譲渡制限の存在について悪意または重過失がある譲受人等の第三者に対し、債務の履行を拒絶でき、なおかつ、譲渡制限付債権の譲受人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって、その第三者に対抗できるものとしました(新法466条3項)。

ただし、新法では、債務者が債務を履行しない場合において、悪意または重過失のある譲受人等が、債務者に対して、相当の期間を定めて譲受人への履行の催告をしたにもかかわらず、債務者が当該期間内に債務の履行をしないときには、その債務者に対して新法466条3項の規定は適用しないとしています(新法466条4項)。すなわち、催告後、相当期間内に履行がないときは、債務者は譲受人からの請求を拒めなくなります。

【改正民法債権編】保証人保護の方策の拡充

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保証人保護の方策の拡充

個人保証の一定の制限や情報提供義務を規定

 

・今回の改正では、前述の根保証に関する改正のほか、保証人の保護をより一層拡充する観点から、特に個人が保証をするような場合に、一定の制限を加えたり、保証人に対する一定の情報提供を主債務者や債権者に義務づけたりするルールなども新たに盛り込まれました。

 

◆個人保証の制限
(1)公正証書の作成義務
個人が締結する保証契約のうち、次のものについては、その保証契約の締結の日前1か月以内に作成された公正証書で、保証人になろうとする人が保証の義務を果たす意思を表示していなければ、保証契約そのものが効力を生じないものとされました(新法465条の6第1項)。

①事業のために負担した貸金などの債務(貸金等債務)を主たる債務とする保証契約
②主たる債務の中に、事業のために負担する貸金などの債務(貸金等債務)が含まれる根保証契約
この公正証書の作成方式についても、具体的なルールが定められます(新法465条の6第2項)。

(2)適用除外
上記のように、個人保証には新たな制限が盛り込まれましたが、誰でもこのような制限が適用されるわけではないことに注意する必要があります(新法465条の9)。
たとえば、次のような人については、公正証書を作成していなくても保証契約の効力が生じます。
①主たる債務者が会社のような法人の場合に、その法人の理事や取締役などに就任している個人
②主たる債務者が個人であっても、主たる債務者と共同して事業を行なっている個人や、主たる債務者が行なう事業に現に従事している主たる債務者の配偶者
要するに、主たる債務者と一緒に事業をしている場合や、法人の役員等がその法人の債務を個人保証する場合には、保証意思が公正証書で明らかにされなくても効力が生じる、ということです。

 

◆情報提供義務の新設
一定のルールに従って保証契約を締結しないと、保証契約そのものが効力を生じないという新たな個人保証の制限に加えて、今回の改正では、主たる債務者や債権者による保証人への情報提供義務も新たに盛り込まれました(新法465条の10、458条の2、458条の3)。

(1)契約締結時の情報提供
主たる債務者が、事業のために負担する債務に関する保証や根保証を他人に依頼するときは、その人に対し、自分の財産の状況等(①財産と収支の状況②他の債務の有無と内容等③他の担保の有無等)について情報を提供しなければならないとされました(新法465条の10第1項)。

そして、このような情報を提供しなかったり、提供していたとしても、その情報が誤っていて、保証を依頼された人が誤解したまま保証契約を締結したような場合に、そのことを債権者が知っていたか、知ることができたときには、保証人が保証契約を取り消せるようになりました(新法465条の10第2項)。

(2)主たる債務の履行状況に関する情報提供義務
保証人が主たる債務者から依頼されて保証をしていたときは、保証人から債権者に対して、主たる債務の内容や返済状況等について情報提供を求めることができるようになりました(新法458条の2)。

(3)主たる債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務
主たる債務者が期限の利益を有する場合に、その利益を喪失したときは、債権者は保証人に対して、その利益の喪失を知った時から2か月以内に、その旨を通知しなければならなくなりました(新法458条の3第1項)。

たとえば、借入金に返済期限が定められている(期限の利益を有する)場合に、借入人の財産状態が悪化するなどして、約束した返済期限の到来前に返済を求められる状態に陥った場合(期限の利益を喪失した場合)に、その旨を通知しなければなりません。
そして、この期間内に通知をしなかった債権者は、保証人に対して、一定範囲の遅延利息の支払い等を請求できなくなります(同2項)。

【改正民法債権編】根保証

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根保証

根保証に関する個人の保証人の保護を拡充

 

◆根保証とは
根保証とは、主債務者が継続的な取引について負担する債務を保証することをいいます。
根保証は、保証額の上限や保証期間を定める「限定根保証」とこれを定めない「包括根保証」に区分することができます。

たとえば、建物賃貸借契約の保証も、この根保証(包括根保証)に当たります。賃借人が、将来にわたって継続的に負担する賃料債務や明渡し時の原状回復費用などの不特定の債務を、包括して保証するものといえるからです。

 

◆根保証に関する個人の保証人保護の拡充
根保証は、時に保証人の予想をはるかに超える責任を負担させられる危険があり、社会的にも問題となる事例が少なくありません。

上述の建物賃貸借の例でも、たとえば、大学生になった子がマンションを借りる際に、親が連帯保証人になるケースはよくあります。
その子の火の不始末が原因で火災が発生し、建物や他の居住者に甚大な被害を与えてしまったような場合、もし賃貸人がその建物に火災保険等をかけていなければ、一個人ではおよそ負担しきれない責任を連帯保証人である親が、すべて背負わなければならないという事態に陥ります。

平成16年の民法改正では、借入金等を根保証の対象とする類型に限って、保証上限(極度額)を定めなければ無効としたり(旧法465条の2)、一定の保証期間が経過すると保証金額が確定(元本確定)するなどのルールが新設されて保護が図られました(旧法465条の3等)。ただ、このような保証人保護の要請は、前述の例で示したように、必ずしも借入金等を根保証の対象とする類型に限られないという指摘がありました。

そこで、今回の改正では、平成16年改正で新設されたルールの適用範囲を、広く個人による根保証契約一般に拡大することとされました(新法465条の2、465条の4)。

 

◆残された検討課題(特別解約権の明文化)
根保証をめぐる残された検討課題として、「特別の元本確定請求権(特別解約権)」を明文化するか否かが議論されています。

これは、平成16年の民法改正時から検討されていたもので、根保証契約の保証人は、一定の特別な事由がある場合には、元本の確定を請求できるとする考え方です。

特別の事情とは、たとえば以下のいずれかに著しい事情の変更があった場合をいいます。
①主債務者と保証人との関係
②債権者と保証人との関係
③主債務者の資産状態

判例等の考え方を踏まえた一般的な理解を明文化するものですが、考慮すべきさまざまな要素を的確に表現することが難しいという技術的な問題をクリアできず、今回も改正が見送られることになりました。

なお、この特別解約権は、実務でも確立した考え方として条文がなくても救済が図られていますので、従前の実務に与える影響は大きくないと言えるでしょう。

【改正民法債権編】保証人の求償権

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保証人の求償権

求償権の範囲と保証人の通知義務に関する規定を整備

 

◆保証人の求償権
求償権とは、他人の債務をその人に代わって弁済した場合に、弁済した金額等をその人に対して請求(償還請求)できる権利のことです。
保証人も主債務者の債務を主債務者に代わって返済する立場にあるので、保証人が主債務を返済すれば、主債務者に対して求償権を取得します。

委託を受けない保証人と受けた保証人の求償権には違いがあります。
(1)委託を受けない保証人の求償権
主債務者から「保証人になって欲しい」と委託(保証委託)を受けなくても、債権者と保証人の合意だけで保証人になることはできます。
ただ、主債務者から委託を受けない保証人は、「弁済の当時、主債務者が利益を受けた限度」でしか求償することはできないので、法定利息や返済の費用等の請求まではできません(新法462条、459条の2第1項)。

また、保証人が主債務者の意思に反して保証をしていた場合は、さらに求償の範囲が制限されます。具体的には、求償時点で主債務者が「現に利益を受けている限度」でしか求償することができません(新法462条2項)。

(2)委託を受けた保証人の求償権
これに対して、主債務者から保証委託を受けた保証人は、法定利息や返済に要した費用など、委託を受けない保証人よりも広範囲の求償権(事後求償権)が認められます。また、保証委託契約も一種の「委任契約」(法643条)なので、受任者(保証人)の委任者(主債務者)に対する費用前払請求(法649条)としての「事前求償権」が認められています(法460条)。

ただ、常にこのような前払請求を認めてしまうと、保証人に保証を委託した意味がなくなってしまうので、旧法460条は3つの場合に限って事前求償を認めていました。
①主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき
②債務が弁済期にあるとき
③債務の弁済期が不確定で、その最長期も確定できないまま、保証契約の後10年を経過したとき(新法で削除)
この③は主債務の額が定まらないなどの問題から事前の求償にはなじまないという指摘を受けて、今回の改正で削除されました。
その代わりに、新法では以下の要件が加わりました。
「保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき」

また、旧法では、委託を受けた保証人が取得する事後求償権の範囲が必ずしも明確ではなかったことから、今回の改正によりこれが明確化されたほか(新法459条)、主債務の弁済期前に返済等(期限前返済等)が行なわれた場合の事後求償権の範囲を、委託を受けない保証人の事後求償権と同じ範囲に制限する改正も行われました(新法459条の2)。

 

◆保証人の通知義務
保証人が主債務者に代わって返済等する場合は、主債務者に不測の損害を与えないよう、事前に主債務者に確認(通知)してから行なうルールになっています(旧法463条1項、443条)。

ただ、委託を受けない保証人については、もともと事前の通知をしていても求償できる範囲が制限されるので(旧法462条1項、2項)、事前の通知を義務づける意義が乏しいなどの理由から、今回の改正では、委託を受けない保証人の事前の通知義務が廃止されました(新法463条)。

一方、保証人が主債務者に代わって返済等をした後に、その旨を主債務者に通知するルール(事後通知義務)は、旧法下のルールが維持されます。
また、主債務者の意思に反して保証をした保証人については、求償できる範囲が著しく制限されるので(法462条2項)、事前の通知や事後の通知をしてもしなくても、求償の範囲に差異が生じないことが条文上も明確にされました(新法463条3項参照)。