詐欺的商法から高齢の親を保護するために

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

お寄せいただいたご相談から、高齢者の消費者被害の防止について考えてみましょう。

【問1】私の80歳の母は、父を亡くしてから一人暮らしをしています。先日母の家に行ったところ、袖を通していない着物や宝石がたくさん置いてあるのです。母に聞くと、親切な男女2人が来て勧めに応じて買ったというのです。父の遺産が入っている通帳を見せてもらうと、100万円とか50万円とか大きな金額が、たびたび引き下ろされています。この高額品をどうしたらいいのでしょうか。

【アドバイス1】その男女は訪問販売業者の従業員と思われます。お母さまが受け取った書類の中から、契約書や領収書を探しだし、業者の名称や所在地を確認して下さい。高価品を買ってから8日以内であれば、クーリングオフ制度が適用可能ですので、内容証明郵便にて業者へクーリングオフをする旨を通知しましょう。これにより、契約は一方的に解約できます。
その男女が事実と異なる説明をして、必要以上の着物や宝石を売りつけていた場合、消費者契約法や特定商取引法の規定に基づき、契約の解除ができます。業者に対して、取消や解除の意思表示と代金の返還を求める内容証明郵便を出しましょう。

【問2】今後母が、このような高額品を売りつけられないようにするには、どうしたらよいでしょう。

【アドバイス2】お母さまとの同居が可能であればお勧め致します。訪問販売業者はお母さまが一人であるので、たびたび高額品を売りつけることが出来るのだと思われます。
しかし、同居できない事情があるときは、次の3つの方策を検討されてはいかがでしょうか。
1.都道府県の社会福祉協議会が行っている、「定期的訪問による見守りサービス」を利用する。
このサービスを利用するには、お母様が社会福祉協議会と契約する必要があります。訪問回数は契約で定めることが出来ますので、1週間に1回以上にしましょう。これはクーリングオフが8日以内ですので、高額品を売りつけられたことをクーリングオフ可能期間内に発見するためです。
2.委任契約及び任意後見契約を利用する。
お母さまが、信頼できる人との間に、委任契約及び任意後見契約を結ぶのです。この契約を行う際に委任事項に「契約の取消権」を入れることで、受任者がお母さまに変わって契約を取消すことが出来ます。そして、お母様の判断能力に問題が出てきた際には、任意後見監督人を選任してもらい、任意後見を開始するのです。
3.成年後見制度を利用する。
成年後見は「後見」「保佐」「補助」の3類型に分かれています。「後見」の場合はお母さまの行為を取り消すことが出来ますので、訪問販売による高額品を売りつけられても、取り消すことが出来ます。
「保佐」の場合もお母さまが高額品を購入する契約をしても、「保佐人」の同意を得ないでした行為ですので取り消すことが出来ます。「補助」の場合、家庭裁判所での審判を受ける際に、同意を受ける行為に「高額品の購入」「そのための預金の取引」を入れておくことで、「補助人」は同意のない行為を取り消すことが出来ます。

高齢者に対する詐欺的商法についてお悩みの方は、家族だけで抱え込まずに、社会福祉協議会等へ相談することが非常に大切です。
当事務所の60分無料相談を利用して、行い得る方法についてご理解を深め、状況に照らし合わせて対策を講じることが望ましいと思います。

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